詳説日本野球研究BACK NUMBER
明治神宮大会を制した光星学院が、
センバツで東北に希望をもたらす。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/12/03 08:01
今夏の甲子園で準優勝に輝いた光星学院が、その後発覚した不祥事を乗り越え、悲願の日本一。来春センバツの「神宮枠」を初めて東北地区にもたらした
第42回明治神宮大会は高校の部が光星学院(東北地区)、大学の部が明大(東京六大学リーグ)の優勝で幕を閉じた。光星学院は初優勝、明大は1996年以来5回目の優勝になり、これは大会史上最多記録になる。
高校の部に焦点を当てると、2003年以来、優勝校が所属する地区に来春の選抜大会出場枠1つが与えられている。この「明治神宮大会枠」(以下、神宮枠)がどの学校に与えられるのかが毎年、話題となる。
光星学院が所属する東北地区は例年、2校が選抜大会に出場している。光星学院(東北大会優勝)と聖光学院(準優勝)がほぼ確定し、これに神宮枠が加わるわけだが、重要な選考材料になるのが準決勝の戦い方だ。
青森、福島、岩手の3校が出るなら、宮城の高校も……?
◇東北大会準決勝
光星学院(青森)9-8花巻東(岩手) 聖光学院(福島)6-2青森山田(青森)
花巻東が優勝した光星学院に1点差の接戦を演じ印象がいいのに対し、青森山田は戦い方とは別に光星学院と同じ青森勢というのが逆風になる。ここで登場するのが「地域性」という言葉である。
たとえば光星学院ではなく愛工大名電が優勝したとしよう。愛工大名電が所属する東海地区の選抜出場枠は例年2つ。東海大会の優勝校・愛工大名電と準優勝校・三重がほぼ確定的でここに神宮枠の1校が加わるわけだが、候補は準決勝で敗退した2校。
愛工大名電(愛知)4-1至学舘(愛知)、三重(三重)5-0市岐阜商(岐阜)の結果を見れば、優勝した愛工大名電から1点を奪った至学館が有利になりそうだが、至学館と愛工大名電が同じ愛知勢なので、主催者側は観客動員や注目度に配慮して市岐阜商を選ぶだろう、というのが高校野球の常識。これが「地域性」である。
地域的バランスとは異なる「地域性」も今回、考慮されるかもしれない。
光星学院、聖光学院、花巻東の3校は東日本大震災で大きな被害をこうむった青森、福島、岩手の学校である。主催者の立場になれば、この3校が出場するなら同じように大きな被害をこうむった宮城の学校も出場させたいと思うはずだ。そこで「21世紀枠」の推薦校に注目すると、石巻工(宮城)の名がある。