オリンピックへの道BACK NUMBER
ロンドン五輪・柔道代表への第一歩。
全日本体重別選手権に刮目せよ!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byPHOTO KISHIMOTO
posted2010/03/31 10:30
2年前までは、すくい投、朽木倒、双手刈、肩車など欧州の選手が好むタックル技を得意技にしていた海老沼匡選手。'09年からの規制によりそれらの技が単独で使えなくなっても、強さは変わらなかった
4月3日と4日、福岡で全日本選抜柔道体重別選手権が行なわれる。
今年9月には東京で世界選手権が開催されるが、同大会の代表選考を兼ねた大会であり、2012年のロンドン五輪代表争いに向けて、重要な一歩となる大会でもある。
国際柔道連盟は2009年1月から、ランキング制度を導入した。各国際大会での成績ごとに、選手にポイントを付与。合計ポイントでランキングを決めるものだ。
男子は上位22名、女子は14名がオリンピックへの出場権を自動的に得られる。オリンピックへの出場は各国1名のみだから、ランキング内に同じ国の複数の選手がいれば、その国に代表選考は任される。とはいえ、ランキング最上位にいることは、日本の代表選考においても重要となる。
そして、ロンドン五輪出場権へのポイント加算の対象となるのが、今年5月からの大会なのだ。世界選手権は国際大会の中でももっともポイントが高い。出場して好成績を収めれば、ロンドン五輪の代表争いを一歩リードすることができる。今回の世界選手権から、各国の代表枠が各階級ごとに2名と少し緩やかになるだけに、なんとしても代表に選ばれたいところだ。
成長著しい若手選手とベテランがしのぎを削る男子。
「次の世代の成長」が課題とされてきた男子では、各階級でようやく若手の選手たちが台頭してきた。
筆頭は、66kg級の海老沼匡(明治大学3年)。昨年11月の講道館杯、12月のグランドスラム東京でともに優勝している。年が明けて1月の国際大会、ワールドマスターズでは5位に終わったが、再度世界への挑戦権を得るために、代表切符を目指す。
重量級では、100kg級の高木海帆(東海大学2年)。東海大相模高校1年の高校総体では、山下泰裕氏以来33年ぶりに1年生での優勝を果たした逸材。2月13日からのワールドカップ・ウィーンで優勝し、勢いに乗る。
66kg級には内柴正人が健在。100kg級は穴井隆将、小林大輔ら実力者がいる。彼らを乗り越えられるかどうかが重要となる。