日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
アジア対策だけでは物足りない!
ザックジャパンは来年こそ欧州遠征を。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKYODO
posted2011/12/16 10:31
もし欧州遠征が実現するようであれば、そのマッチメイクにはザッケローニ監督自身の人脈もフルに活用されるという
2012年の日本代表スケジュールが今月下旬に発表される。
現時点で明らかになっている日程は、既に突破を決めているブラジルW杯アジア地区3次予選ウズベキスタン戦(2月29日、豊田スタジアム)が2012年一発目の試合になるということ。さらに、6月からは最終予選がスタートするという大枠だけである。最終予選では、6月、9月、10月、11月において5~6試合が組まれる予定だという。最終予選の全8試合中、半数以上を2012年のうちに消化するということだ。
アルベルト・ザッケローニ監督は、今年11月にタジキスタン、北朝鮮とのアウェー2連戦を終えて帰国した際、「もっとアウェーの戦いに慣れなければならない」とコメントしていた。イラン、イラク、ヨルダンの西アジア勢が多く最終予選進出を決めていることもあって、指揮官はいずれかと同組になることをにらんでアウェー対策の必要性を日本協会に訴えているようだ。その準備として5月末には「西アジア強化遠征」までが検討されているとも聞く。
いずれにせよ、日本代表の2012年が対アジア偏重の一年となることは間違いない。
アジア対策も重要だが「対世界」の準備も怠るべからず。
アジア最終予選を迎える年になるため、対アジア重視は当然ともいえる。しかし、その一方でブラジル本大会に向けた“対世界”の準備も併行してやっていく必要がある。ニュアンスで申せば、「やったほうがいい」よりも「やるべき」に近いだろうか。
というのは2011年も、結果的に対アジア偏重の一年となってしまっていたからだ。1月にはアジアカップ、8月には韓国との親善試合、9月からは3次予選がスタートと、国際Aマッチ全15試合中13試合がアジア勢との戦いだった。
当然、東日本大震災の影響もあった。3月にはモンテネグロ、ニュージーランドとの親善試合が中止となり、Jリーグの日程がタイトになったことで7月のコパ・アメリカの参加も取りやめている。致し方ない事情とはいえ、特にコパ・アメリカに関しては対世界のアウェー経験を積める貴重な機会であっただけに残念というほかなかった。
今年はペルー、チェコと対戦した6月のキリンカップが唯一「対世界」の場だった。ザッケローニはそこで3-4-3をテストして、世界相手にその感触を確かめている。日本代表の現在地を把握する意味でも対世界のマッチメークは極めて大事だ。「対アジア」、「対世界」の両輪をしっかりと回していくためにも、2年連続で「対世界」がおろそかになってしまうことは何としても避けたいところである。