詳説日本野球研究BACK NUMBER
日本一支えた“43勝投手”が流出も、
ソフトバンクの来季が明るい理由。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/12/16 10:30
2011年シーズンに16勝を挙げたエース和田毅も、海外FA権を行使してメジャーのボルティモア・オリオールズへと移籍することが決まった
ソフトバンクが大変なことになっている。2011年の日本一を支えた先発投手陣の主力が一挙にいなくなりそうなのだ。
和田毅 16勝5敗、防御率1.51
杉内俊哉 8勝7敗、防御率1.94
ホールトン 19勝6敗、防御率2.19
今年の総勝ち星が88勝だから、3人がいなくなれば49パーセント(43勝)を喪失することになる。過去にこれほど勝ち星が流失したケースは聞いたことがない。1973(昭和48)年に山内新一(→南海)、渡辺秀武(→日拓)、福士敬章(→南海)が巨人から他球団に移籍し、翌年に合計38勝(山内20勝8敗、渡辺11勝14敗、福士7勝7敗)したという例はあるが、巨人時代の'72年に勝ち星を挙げたのは渡辺の10勝だけだから直接的なマイナスは少ない。
“33勝投手”を失った'08年のヤクルトはどう戦った?
近年では'08年のヤクルトが、5人の投手の合計で33勝分を喪失してシーズンに挑んでいる。
石井一久(→西武) 9勝10敗、防御率4.16
高津臣吾(→カブス) 0勝 5敗13セーブ、防御率6.17
シコースキー(→ロッテ) 1勝 2敗 1セーブ、防御率2.29
グライシンガー(→巨人) 16勝 8敗、防御率2.84
藤井秀悟(→日本ハム) 7勝10敗、防御率5.05
前年(60勝84敗)の勝ち星のうち流失分は実に55パーセント。来季のソフトバンクにくらべても喪失感は大きかったはずだが、順位を6位から5位に上げている(66勝74敗)。
石川雅規 4勝 7敗→12勝10敗
館山昌平 3勝12敗→12勝 3敗
川島 亮 4勝 3敗→ 7勝 9敗
村中恭兵 登板なし→ 6勝11敗
押本健彦 トレード→ 5勝 6敗
既存戦力で20勝、新戦力で11勝貯金してほぼ前年のマイナス分を補い、あとは増渕竜義、由規などの台頭で前年を上回る成績を残している。この年のヤクルトと同じことができるのか、というのが今回のテーマである。