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明治神宮大会を制した光星学院が、
センバツで東北に希望をもたらす。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/12/03 08:01

明治神宮大会を制した光星学院が、センバツで東北に希望をもたらす。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

今夏の甲子園で準優勝に輝いた光星学院が、その後発覚した不祥事を乗り越え、悲願の日本一。来春センバツの「神宮枠」を初めて東北地区にもたらした

愛工大名電で光った、伝統を受け継ぐバントの名手。

 準優勝の愛工大名電は、タレント揃いという点では光星学院を上回った。

 左腕・濱田達郎は初戦の関東一戦こそストレートが抜けて苦しいピッチングを強いられたが、準々決勝以降、コントロール重視、低め重視を徹底し、浦和学院戦が完投して8対1、北照戦が8回3分の2を投げ6対2、決勝の光星学院こそ11安打、6失点と打ち込まれたが、最速145キロのストレートとキレ味鋭いスライダー、カーブを交え、準々決勝以降、3日連投、4試合合計579球を投げ、チームを準優勝に導いた。

 濱田以外では女房役の中村雄太朗捕手が実に個性的だった。浦和学院戦は走者がいようがいまいがすべてバントを敢行し、このときの一塁到達タイムは俊足のレベルを遥かに超える3.70、3.95、3.73秒(第2打席以降)。捕手としての強肩も目立ち、投球練習の最後に行う二塁送球(イニング間)は最速1.92秒があり、北照戦では4回裏、二塁けん制球(2.28秒)で走者を殺している。

俊足とバントでかき回すチームは秋の大会に強い!?

 この中村に代表されるように愛工大名電は走りまくった。

 打者走者の各塁到達タイム「一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12.3秒未満」で俊足度を測ると、1試合3人以上がこのタイムをクリアすると“走るチーム”と評価していいが、北照戦は8人(11回)、決勝の光星学院戦は6人(9回)と、塁上狭しと走り回り、他チームのディフェンス陣を混乱に陥れた。

 '03年優勝、'04年準優勝、今大会準優勝と、過去10年に限れば出場すれば必ず決勝に進出してきた('93年は初戦敗退)。攻撃面ではバントと全力疾走を主体にし、投手を前面に押し立てたディフェンスの固さも愛工大名電の真骨頂と言っていい。こういう野球は新チーム結成直後の秋には絶大な威力を発揮するのだなと、愛工大名電の試合を見て改めて思い知らされた。

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