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今季7試合で1勝だけのガンバ大阪。
FW陣総崩れで迎える序盤の正念場。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byHiroyuki Setsuda

posted2010/03/27 08:00

今季7試合で1勝だけのガンバ大阪。FW陣総崩れで迎える序盤の正念場。<Number Web> photograph by Hiroyuki Setsuda

ガンバ大阪を率いて9年目の西野朗監督。Jリーグの監督在任最長期間記録を持ち、Jリーグ最優秀監督賞を2回、AFC最優秀監督賞も1回受賞している名将だが、このピンチをどう切り抜けるのか?

グアム合宿でFW布陣を見いだせなかった理由とは?

 グアム合宿に合流したゼ・カルロスは、「熊のような体」(安田理大)で5キロのウエイトオーバーが発覚。いきなり体を絞る別メニューが与えられた。チョ・ジェジンは右手を骨折して全治4週間、ペドロ・ジュニオールも足を故障して離脱した。ドドは19歳と若く、将来性を見越しての契約であり、現状では物足りなさが残った。 

 結局、グアムでFWの“つがい”を見極めることはできなかった。昨年までなら、ここで日本人FWの出番だった。だが、昨年まで大きな存在感を見せていた山崎雅人は広島へ、播戸竜二はセレッソに移籍していた。期待された3人が早々に離脱し、ルーカスと5年目の平井将生、17歳の宇佐美貴史に頼らざる終えない状況に陥ったのである。

 シーズンに入っても重要な“つがい”が決められない状態が続いている。大阪ダービーとなったセレッソ戦では、ルーカス&チョ・ジェジン、チョ・ジェジン&ペドロ、ペドロ&平井というパターンを試したが、どの組合せも「帯に短し……」に終わった。出遅れたゼ・カルロスはようやくウエイトが落ちたが、体にキレがなく、動きの質でも監督の要求に応えられていない。そのため、新しいつがいのFWを軸にした攻撃のパターンをまったく型作れないでいる。

FW陣の不調に加え、中盤の選手たちの運動量まで低下。

 加えて、中盤の選手の運動量が落ちているのも気に掛かる。特に、後半になると、目に見えて足が止まることが多い。

 シーズン序盤にもかかわらず、遠藤保仁は疲労からか信じられないようなミスが多く、明神智和などすでに故障を抱えている選手もいる。そうしたマイナス要因を考慮してひいき目に見たとしても、運動量が絶対的に少ない。どこか他人任せで、連動して走れていないからパスがうまく回らない。「前がまだ流動的なので、絡みはまだまだっすね」と、主将の明神が言うように、FWとの連係も稀薄なので、相手を完全に崩してゴールを奪うことが難しくなっている。

 西野監督にしても「トップが定まらないから点が取れないのか、取れないから定まらないのか見極めが難しい」と、困惑した表情を見せている。

 これからFWのコンディションが上がり、お互いに勝負するエリアの住み分けができれば、攻撃力もアップし、チームも上向くかもしれない。だが、それがいつになるのかは不透明である。そもそも、今季獲得した外国人FWが期待に応えてくれるかどうかも日本での実績がないだけに分からない。

【次ページ】 ペドロの退団騒ぎが他の外国人選手へ波及の可能性も。

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