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西岡利晃がアメリカで大スターに!?
ラスベガスの聖地で勝った意味とは。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byGetty Images
posted2011/10/03 12:20
西岡は得意とする左の強打を多彩に打ち分けマルケスを圧倒。40勝中36KOを誇る元2階級制覇王者を3-0の判定で破った
WBC世界スーパーバンタム級チャンピオンの西岡利晃が10月1日(日本時間2日)、米国ラスベガスで挑戦者のラファエル・マルケス(メキシコ)を判定で下して7度目の防衛に成功した。
特筆すべきは日本人ボクサーが本場ラスベガスのリングでメインイベントを張り、マルケスというビッグネームに勝利した事実だ。西岡は日本ボクシング界を覆い尽くす閉塞感を打ち破り、ボクシング新時代の幕開けを告げる希望のゴングを打ち鳴らしたのである。
閉塞感とは何か。
詰まるところは一点に集約される。いくら努力を重ねて世界チャンピオンを作っても、往時のような注目と尊敬を集められず、ビジネスとしての旨味にも恵まれない、というシビアな現実だ。
日本人世界王者は多くいるのに、ボクシング人気がサッパリの理由。
最大の原因は、統括団体(WBAやWBC)がメジャーと呼ばれる団体だけでも4つ存在し、同一クラスに数多くの世界チャンピオンが存在することである。
ただでさえチャンピオンは乱発傾向だというのに、近年では暫定王者やスーパー王者という名の新たな“チャンピオン”が次々と新設され、正規王者と暫定王者がそれぞれ防衛戦を重ねるという支離滅裂な事態まで起きている。
チャンピオンが増えれば当然チャンスは広がる。国内でもずいぶん前から毎月のように世界タイトルマッチが開催され、昔に比べて世界王者誕生のペースも上がった。その結果、日本では世界チャンピオンがしょっちゅう生まれるのに、ボクシング人気はさっぱり回復しないというジレンマに陥った。
ボクシング関係者はこのジレンマに頭を悩ませ続けた。
世界タイトルマッチは本来であればサッカーのワールドカップのように真の世界一を決める価値ある試合であってほしい。その願いとは裏腹に現実と理想のギャップは広がっていくばかりなのである。
この状況をどうにか打破する方法はないのか。関係者が常々模索していた道がアメリカへの進出だった。