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西岡利晃がアメリカで大スターに!?
ラスベガスの聖地で勝った意味とは。 

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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photograph byGetty Images

posted2011/10/03 12:20

西岡利晃がアメリカで大スターに!?ラスベガスの聖地で勝った意味とは。<Number Web> photograph by Getty Images

西岡は得意とする左の強打を多彩に打ち分けマルケスを圧倒。40勝中36KOを誇る元2階級制覇王者を3-0の判定で破った

アメリカで大スターになったパッキャオの通ってきた道。

 ボクシング界の大スター、マニー・パッキャオをご存じの方も多いだろう。

 フィリピンの貧しい農家に生まれたパッキャオは母国でボクシングキャリアをスタートさせ、'98年にWBC世界フライ級タイトルを獲得した。この時点で世界的にまったく無名だったパッキャオは、やがてアメリカのプロモーターと契約し、全米デビューを果たしてからスター街道を歩み始めた。

 無名のフィリピン人はチャンスをつかんだ。'03年にメキシコのスター選手、マルコ・アントニオ・バレラから衝撃の勝利を奪うと、そこから怒涛の快進撃が始まった。ラスベガスの名だたる猛者たちを次々に撃破し、世界最高のボクサーという称号を手に入れたのだ。いまやパッキャオの試合は世界中で放送され、20億円を超えるファイトマネーを手にする超スーパースターとなったのである。

 注目すべきはパッキャオの成功が本人の成功だけに終わらなかったことだろう。腕利きのプロモーターたちが第2のパッキャオを発掘しようと多くのフィリピン人ボクサーと契約を交わし、いまやアメリカのボクシングシーンにフィリピン人はなくてはならない存在となっている。

次戦はパッキャオ効果で米国デビューした期待のフィリピン人選手か。

 言うまでもなく現時点における西岡の成功はパッキャオの成功に及ばない。

 ただ今回の勝利は海外における日本人ボクサーの評価を確実に変えたはずだ。極東の島国に引きこもり、ジャパンマネーをコツコツと稼ぐかつての日本人ではなく、海外のリングを貪欲に目指す逞しいサムライたちなのだと。

 西岡自身はマルケス撃破でノニト・ドネアと対戦するチャンスを手に入れそうだ。ドネアはパッキャオ効果によって米国デビューを果たしたフィリピン人選手で、現在の軽量級では最も期待値の高いホープである。ドネアと試合をやるとなれば、マルケス戦以上の注目を集めることは間違いない。ドネアと好試合を演じれば、日本人ボクサーの評価がさらに高まることはパッキャオの例を出すまでもなく明らかであろう。

 西岡に続けとサンドバッグを叩く拳に力を込めるボクサーがこの列島にはたくさんいる。ボクシングというスポーツの明るい未来を信じたい。

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#西岡利晃
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