スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
“ソ連”の凋落と中国の台頭。
国家戦略としての五輪スポーツ。
~カーリング女子・中国代表の凄さ~
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byTakuya Sugiyama(JMPA)/Getty Images
posted2010/02/19 16:50
スポーツ界を深く蝕んでいた「ソ連邦崩壊」という病。
ロシアの衰退は、いまになってソ連邦の崩壊が影響していると見ていい。今回の主軸となるべき20代後半の選手たちは、10代前半のなんでも体が吸収してしまう「ゴールデン・エイジ」の時期に国家の体制が変わってしまい、それまでソ連が施していたようなエリート教育を100%受けることができなかった。
特にフィギュアスケートのペアでは、ずっと連覇を続けてきたのに、今回はメダルさえ取れなかった。ペアの育成には時間がかかる。1990年代の政治的な混乱が、十数年経過して、いまになって表面に現れたと考えていい。
冬のスポーツはインフラにお金がかかるし、育成に時間もかかる。夏のオリンピック以上に原因と結果の間にタイムラグがある。
さらには冷戦時代よりも人の行き来が自由になり、コーチや選手だけでなく、情報の流出が始まったことも衰退の一因になっている。フィギュアスケーターのなかにはアメリカでプロアイススケーターになってお金を稼いでいる選手もいるから、一概に否定するわけにもいかないが、冷戦の終結はいろいろな形を取って、現代に現れるのだ。
さて、いよいよ21日にバンクーバーに入る。次のコラムはバンクーバーからお届けするが、今回は取材証がないので、一般のファンの方と同じ目線での取材になる。
かなり大枚を投じたので……目いっぱい楽しんでくるぞ!