なでしこジャパンPRESSBACK NUMBER
笑顔で世界の頂点に立ったなでしこ。
最強アメリカを倒した“折れない心”。
text by

了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2011/07/18 14:30

ワールドカップトロフィーを高々と掲げ、喜びを爆発させる澤穂希らなでしこジャパンの選手たち。澤を中心としながらも、毎試合ごとに新しいヒロインが現れた、文字通りチーム一丸となって掴んだ栄光だった
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信頼関係を積み重ねてきたなでしこたちが咲かせた花。
PK戦に入る直前、同じピッチに立つ日本の選手たちには、アメリカの選手たちが明らかに堅い表情に見えたという。一方、なでしこたちは笑顔、笑顔。
「2度も追いついてPKなんてモウケ(儲けもの)だろ! 楽しんでこい」
佐々木は、選手たちに檄を飛ばし送り出した。
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「本当は冗談のひとつも言いたかったんだけど思い浮かばなかったんですよ。だからオレはリラックスしてるというのを伝えるために笑顔を見せました」
と説明する。
PK戦に入るとGK海堀あゆみが大当たり。3本連続で止めると、日本は4人目の熊谷紗希が決めて終了。歓喜の瞬間が訪れた。文字通りピッチには笑顔が溢れた。
得点王と大会MVPを獲得した澤は言う。
「想像もできなかったし、実感がない。みんながあきらめなかった結果です。ここまでの道のりは長かった。若い力が育っていることも頼もしく感じる。いま日本がなでしこで盛りあがっているのも感じるが、これを今だけで終わらせたくはない」
日本女子代表30年の歴史のうち17年間を背負い続けて来た彼女だからこそ、の言葉だ。
信頼関係を丁寧に積み重ね、なでしこたちが咲かせた花はとてつもなく美しく輝いた。
