岡田ジャパン試合レビューBACK NUMBER
【W杯アジア最終予選/vsカタール】 豪州戦でえぐり出したい、
岡田ジャパン、最後の問題とは?
text by
木ノ原句望Kumi Kinohara
photograph byNaoya Sanuki
posted2009/06/12 12:45
控え組が“自己アピール”と“チームワーク”の狭間で苦しんだ。
岡田監督は「ワールドカップでベスト4を目指す」ことを改めてチームの目標として認識させようとしたが、選手の側はチーム内での自分が置かれた立場によって意識するものが変わる。これまで控え組に甘んじてきた選手らにとっては、今後は生き残りをかけたアピールの場としての意味合いの方が大きいだろう。
その状況で、選手が“自分”を出しながら、チームとしても機能するのは、なかなか簡単なことではない。それが、この試合で“足かせ”になった面は否めないのではないか。心の迷いはプレーに出る。一歩が半歩になり、出足のタイミングも半テンポ、あるいはコンマ数秒という差で遅れる。
試合前日、「誰が出ても、同じようにできなくてはいけない」と話していたMF阿部勇樹は、「相手のプレーへの対応がはっきりしなかった」と言い、「もっと前へ上がればよかったのかも」と、迷いがあったことを明かした。彼とボランチでペアを組んだMF橋本英郎は「彼らとは違うよさが出せればいい」と、遠藤と長谷部に代わっての出場を前に意気込んでいたが、残念ながら、彼ら自身のよさを十分に出せたとは言いがたい。
17日の豪州戦では“ベスト4”の本当の可能性が試される。
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ピッチにいない者の存在感がかえって浮き彫りになることは以前にもあったが、本大会出場が決まった今、それを嘆くばかりでは意味がない。来年の南アフリカの舞台でも、ケガや出場停止で主力が出られない状況は起こり得る。それで十分に力を発揮できずに終わるようでは、とても「ワールドカップでベスト4」などと語れない。チーム内のレベルの差をできるだけなくしていかなければ、この先の激戦には対応できない。
幸か不幸か、最終予選最終戦となる6月17日のオーストラリア戦には、遠藤と長谷部に加えて、中村俊輔、大久保、本田もケガやコンディション不良で帯同できない。一方、予選A組首位を走るオーストラリアは、ホームでの最終戦を勝利で飾り、無敗で予選を終えるため、主力を投入してくるだろう。
最終予選で日本は、ウズベキスタン(1-1)、オーストラリア(0-0)、そして今回のカタール(1-1)と、歯応えのある相手にはホームで勝てずに引き分けに終わっている。岡田監督は今後について、「ボロボロになってもいいから強い相手と対戦したい。でなければ、足りないものが見えてこない」と話していたが、これまでの試合から既に見えてきているものもあるはずだ。
「こういう試合を今後にどう生かすか」と指揮官は言った。1週間後のオーストラリア戦がその最初の機会である。