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インテルとユベントス、新年の明暗。 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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posted2007/01/22 00:00

インテルとユベントス、新年の明暗。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

 「アンノ ヌオボ エ ビータ ヌオバ」

 イタリアでは年明けによく耳にする言葉で、新しい年を迎え、心機一転(ビータ ヌオバ)することを意味している。

 セリエAも年明けとともに「ビータ ヌオバ」が始まる。移籍市場解禁期間の1月は、選手の入れ替わり、とりわけ成績の上がらないクラブの場合は監督解任と強攻策に出る場合も多い。

 リーグが再開した1月13日、パレルモに2−0で完封負けしたウディネーゼは老将ガレオーニを電撃解任した。アタランタに5−1で大敗したリボルノのアリゴーニ監督も解任騒動の真っ只中。小笠原満男の所属するメッシーナも昨年の10月29日のキエボ戦以来、白星に恵まれないことで、ジョルダーノ監督の失脚も秒読みとされている。監督の交代が成績不振の歯止めとなるかは微妙なところだが、セリエAのベンチの顔ぶれが一変するのも、今では新年の風物詩となっている。

 一方で、「ビータ ヌオバ」を懸念するクラブもある。今季絶好調のインテルは、「長い休暇がチームのリズムを狂わす」とマンチーニ監督が年明けの一戦に不安を募らせた。幸い、何一つ変化もなく、インテルはトリノに3−1で圧勝し、リーグ新記録の12連勝を達成した。身体を鋭く反転させてゴールを奪ったFWイブラヒモビッチ、PKを冷静に決めたマテラッツィの得点能力が新年も健在だったことで、指揮官は安堵の表情を浮かべたものの、「(リーグ優勝を狙うには)冬場が肝心」と手綱を締めた。

 マンチーニ監督と同様、セリエBユベントスのデシャン監督も「年明け……」を恐れていた一人である。マントバ戦では指揮官の不安が的中し、今季初黒星を喫した。ユベントスの敗戦は2005年10月29日、ACミランとのアウェイに3−1で敗れて以来、441日ぶり。46試合目にしての黒星が新年最初の試合とあって、デシャン監督も「新年シンドローム」を敗因に挙げた。たかが1敗。しかしながら、守護神ブッフォンからゴールを奪ったのが同僚DFコバチ(のオウンゴール)だったことと、試合中にそのブッフォンがぎっくり腰で退場したことも事態を深刻化させた。

 さらに16日のチェゼーナ戦は、PKを見逃されるという幸運もあって2−1の辛勝。調子が上がっていないことがこの2試合で露呈した。トレゼゲとデルピエロなしではチームが機能しないこともわかり、セリエA復帰が至上命題である「名門」にとって、苦しいスタートとなった。

 現在は冬季移籍解禁中とあって、ユベントスの選手たちはイタリアスポーツ紙の格好の餌食。FWトレゼゲ、GKブッフォンの移籍宣言にはじまり、生涯をユベントスとともにすることを誓ったFWデルピエロまでも移籍をほのめかした。

 フランス人の若手指揮官がクラブに「ビータ ヌオバ」をお願いする日も近いかもしれない。

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