プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人の若手が育つ理由。
~米国流・岡崎二軍監督の功績~
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2009/09/15 11:30
ヤンキース留学時代の岡崎(左)。その後、2006年に二軍コーチに就任。吉村禎章が一軍総合コーチに昇格したのに伴い、'09年二軍監督に就任した
二軍での選手起用法には勝敗以上に大切なことがある。
ただ、岡崎監督がアメリカで経験したことは、間違いなく今の巨人の育成方針にマッチしている。
コーチ留学で得たことで意識的に実践しているのが、ファームでの選手の起用法だった。
「アメリカでは1Aや3Aで先発で起用したらほとんど途中で交替させないんですよ。これは僕が監督になったら必ずやろうと思っていたことなんです」
日本の場合はファームも勝敗にこだわり、試合の終盤になると代打を多用するさい配が主流だ。勝つことではなく選手を育てることが目的といっても「ファームも弱いということは若手の育成もできていないということ」とみる球団幹部が多い。そうしないと2軍監督も実績として評価されない。そこでどうしても勝負にこだわったさい配が生まれてしまいがちなのだ。
「やっぱり1試合を通じて選手を評価するという考えですよ。アメリカの場合だと途中で交替させられることは、選手にとって非常に屈辱的なことでもあるんです。ですから最後まで1試合を任せて、その結果で選手をみていく。そうやってやらなければ逆に選手の評価も見誤ることが出てくると思います」
坂本や松本に続く若手を育てるために……。
もちろんファームには一軍選手の調整という役割もある。
「あとは投手の場合は左のワンポイントとして育てなければならないとか、役割分担がはっきりしている。野手の場合は将来的には役割分担もしなければならないが、まずファームではその選手の総合力を伸ばしていくこと。その力を見定めていくこと。だから1試合を通して選手をみることが必要になってくる」
昨年のドラフト1位の大田泰示や中井大介、田中大二郎、身長172cmの小兵外野手・橋本到や、チームNO.1の快足を誇る藤村大介などファームの選手は、この方針の下に先発で出場すれば1試合を任される。
その先に第二の坂本勇人や松本哲也を生みだそうというわけだ。