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ホンダの強さは本物か。 

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西山平夫

西山平夫Hirao Nishiyama

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photograph byGetty Images/AFLO

posted2004/04/20 00:00

ホンダの強さは本物か。<Number Web> photograph by Getty Images/AFLO

「もてぎ挑戦は今年が7回目で、過去6年間はバッドラックにつきまとわれ勝利の女神に見放されていましたが、今年は10人の精鋭と一緒ですからバッドラックを跳ね返せると思ってます。10人が10人とも完走して、トップフィニッシュはもちろん、これまでのツケを返すように1~7位まで並んでもいいかなと」

 ツインリンクもてぎで開かれたIRL第3戦「インディ・ジャパン300マイル」決勝5日前、東京都内で開かれた記者会見の席上でHPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント=アメリカ)社長の和田康裕さんは力強くそう宣言した。

 20世紀世界七大土木工事のひとつと称されるほどの巨費を投じて建設しながらも、なぜか家主のホンダは我が家の庭で過去6年間、CART、IRLで1回も勝ったことがなかった。それこそ世界レースシーン七不思議のひとつとさえ言われたものだが、今年ついに「ホンダはもてぎで勝てない」というジンクスを跳ね返した。それも予選で1~5位独占、決勝で1~2位を得たのだから、バッドラックへ最高の形でリベンジを果たせたわけだ。和田社長が望んだ通りのリザルトだったと言っていい。

 今年のホンダは去年までとは確かに違う……と思わせたのは、上記記者会見でのHPDの意気込みだった。再び、和田社長の言葉を引こう。

「今年は10人のドライバーと共に帰って参りました。緒戦ホームステッドから3人増えたのですが、これはインディ500のラインナップを早目に出したということでもあり、層を厚くして、もてぎでチームオーダー無しでも勝てる体制にしたかったからです」

「いわゆる“もてぎ弾(だま)”(もてぎ専用特製エンジン)は第2戦フェニックスから入れていて、ここにいるトニー(カナーン)が勝ったことでそのパフォーマンスを証明できたわけですが、その後もう一度フェニックスに戻って、最終確認をして来ました。もてぎ弾のパフォーマンスと信頼性のダメ押しです」

 前戦フェニックスのレースは、いわばもてぎのシミュレーションとしてあったわけで、ホンダがいかにもてぎに賭けていたかがわかろうというものだ。

 10人のドライバー達もそのホンダの意気に感じたコメントを出していた。

 エース格のT・カナーンは「フェニックスのレースではいい結果が出せたし、その後のテストでエンジンもよかったし、チームメイトもいい。必ず誰かひとり優勝できるように頑張りたい」と、フォア・ザ・ホンダを強調。レースでポールポジションを獲り、優勝を果たしたD.ウォルドンも「初めてのもてぎだけど、このすばらしいチャンスを活かしたい」と、静かに決意を述べていた。

 ところで、IRLはシーズン途中で車両レギュレーションを大きく変えた。最も重要なのは従来の3.5リッター・エンジンが今回のもてぎでおしまいとなり、次戦インディ500マイル(5月30日)からは3リッター・エンジンとなることである。

 世界三大レースに数えられるくらいだから、インディもまたホンダばかりでなくトヨタやシボレーにとっても重要なイベントで、いわばもてぎは分水嶺でもあった。要するに3.5リッターと3リッターを並行開発しなければならなかったわけで、和田社長は「両方のエンジンを同時に開発するのは正直キツかったですが、手を抜かずに精一杯やりました。1週間ほど前にインディアナポリスで3リッター・エンジンのスペック確認走行会があって、ここにいる何人かのドライバーが参加し、B.ハータが176周(約400キロ)走りましたが、結果は良好でした」と、こっちの対策も万全という。同走行会に参加したウォルドンも「イニシャル・テストのタイムもよかったし、強力な体制でレースに臨める」とコメントしている。

 果たしてホンダはもてぎ~インディ500と連覇できるかどうか? エンジンが変わるだけに、実現できれば昨年のトヨタ以上の評価を受けることになろう。そう、ホンダにはもうひとつのリベンジが残されているのだ。

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