セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
インテルが首位で折り返し。
その陰で進むセリエAの地殻変動。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2009/12/30 08:00
首位でリーグ前半を折り返したものの、モウリーニョ・インテルには凄みが欠ける
CL決勝T進出も逃したユーベに“絶対王者”の面影はない。
一方、フェラーラ監督のユベントスは、現在3位とはいえ危機的状況に陥っている。11月下旬以降の計6試合で何と5敗。ボルドーとバイエルンとのCL終盤2試合で屈辱の勝点0に終わり決勝トーナメント進出を逃したうえ、国内でも昇格組バーリと最下位カターニャに連敗。ホーム、アウェイを問わず南部イタリア勢5チームに全敗という事実は、かつて地方チームが怖れた絶対強者の面影が今季のユーベに微塵もないことを示している。
開幕後からジエゴ、カモラネージなど主力が入れ替わりで次々に故障者リスト入りする中、フェラーラは後手の対応しかできず、采配面でも経験不足を露呈した。昨季残り2試合で解任され、現在はローマを率いて勝点2差にまで迫ったラニエリ監督は「ユーベでは勝てない以上、叩かれるのは当然。監督が私であれば、とっくにクビになっている」と皮肉っている。
12月中旬には守護神ブッフォンも左膝手術に踏み切り、長期離脱は避けられない見通しで、チーム立て直しに明るい材料が見えない。1月の市場でテコ入れを図りたいところだが、クラブ上層部はサポーターから痛烈な非難に晒されており、まずはその沈静化が優先課題だろう。
例年の上位陣が不調に喘ぐ一方、昇格組は意気軒昂。
地殻変動は下のヒエラルキーにまで及んでいる。昨季のコッパ・イタリア覇者ラツィオが16位に、CLでリバプールやリヨンとの同組を首位通過したフィオレンティーナが9位に留まるなど例年の上位陣が未だ不安定さを残している一方で、昇格組が躍進を見せている。
9位バーリの失点15は首位インテルに次ぐ少なさであり、国際的に無名な選手たちによる鉄壁の守備が光る。
パルマは4位にまで躍進。アモルーゾやボジノフ、パロスキといった各世代FWトリオに加え、守備では36歳のベテランCBパヌッチがなお意気盛んだ。監督業を始めて、20回以上のクリスマスを数えてきた指揮官グイドリンは浮き足立つところなく、後半戦を見据えてこう言っている。
「セリエAで勝利する鍵、それは“確実なことなど何もない”と知ることだ。だから、自分たち自身に賭けてもいいと信じられるほど、とことん追い詰める仕事をしたチームが最後は勝つんだよ」