カンポをめぐる狂想曲BACK NUMBER

From:東京「ジョギングの友。」 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byShigeki Sugiyama

posted2008/12/26 00:00

From:東京「ジョギングの友。」<Number Web> photograph by Shigeki Sugiyama

気づけばまわりの知り合いの多くが走っている。いわゆるジョギングブームだ。

何事も形や格好から入る僕は、マイソール入りのマイシューズを新調し、

お気に入りの音楽と一緒に走っている。今回は三日坊主に終わらないように……。

 それにしても、先日インタビューしたチョンテセ(川崎フロンターレ)は、面白い選手だった。よく喋るし、話も面白いし、サービス精神旺盛だし、弾けているし、そして意外に(失礼)、格好も良い。音楽大好き人間でもあるらしく、DJにもトライしているのだという。

 DJにはトライしていないけれど、僕もかなりの音楽好きだ。先日も、某女性誌編集部勤務のHがDJをやるというので、お手並み拝見とばかり、夜な夜なフラッと出かけていった。

 アイツがやれるなら、僕だって……という気持ちになったことは確かだ。大きな声では言えないが、僕は自らの選曲センスに、密かに自信がある。装置の使い方さえ覚えれば、何とかなりそうな気がする。僕の中ではいま、音楽はブームになりつつある。

 一方、世の中には、ジョギングブームが巻き起こっている様子だ。元“番号”編集部のYくんに久々に会えば、フルマラソンにチャレンジしているのだと言った。彼の趣味は確かクルマ。シドニー五輪の時に、マラソンを精力的に取材していた記憶はあるが、自ら走っているとは恐れ入った。

 もっと驚いたのは、いま僕が手がけている新刊本の編集者Aに、そんな話をした時の反応だった。「僕も走ってますよ!」。Aは確か、サーファー。いつの間にランナーに変身していたのか。聞けば近々、仲むつまじく、夫婦でフルマラソンにチャレンジするのだという。

 そう言われると、僕もジッとしていられなくなる。大昔、走らせればそれなりに速かったプライドが、密かに燃えてくる。

 実は最近も、絵画館前の周回コースを走った経験があった。禁煙の反動が体重オーバーとなって現れたので、久々に走ってみたのだが、翌日なんとヒザ痛に見舞われる始末(前々回「喋りのセンス。」参照)。シューズも新調したというのに、三日坊主ならぬ一日坊主に終わっていた。

 編集者Aにその事実を伝えれば「それはシューズが足に合っていないからだ」と指摘された。僕が購入したのは、サッカー的には最もメジャーな某ブランドなのだけれど、ランニングシューズ的には、どうやらそれはミスチョイスらしい。「アシックスとかミズノとか、国産メーカーのほうが……」と彼。

 何を隠そう、僕は何事も形や格好から入るタイプだ。そういわれると、新しいシューズが欲しくなる。

 すると後日、編集者から連絡が入った。「この際だから、インナーソール(中敷き)も作っちゃいましょう」。というわけで、近々フルマラソンにチャレンジする編集者と、その奥さんと3人で、神保町にある「フットレスキュー」というお店を訪れた。

 多くの有名アスリートが、このお店で足型を取り、“マイソール”を作っているのだという。絵画館前の周回コースを一度走っただけの人間には、恐れ多い気もするが、一方で何でも形から入る人間には、おあつらえ向きの話になる。

 前に良く進む。力を的確に地面に伝えることができる。後日、絵画館前の周回コースを走った印象だ。タイムを計ったわけではないけれど、走るスピードは、前より明らかに速くなった様子。

 マイソール入りのマイシューズ。もちろん、ジョギングに不可欠なのは、これだけではない。音楽だ。

 そんな時にありがたいのが、iTunesのジーニアスという機能。勝手にDJになりかわり、選曲してくれるのだ。自分で選曲すると、どうしてもお気に入りの曲ばかりになりやすいが、ジーニアスは、埋もれた曲を上手い具合に掘り起こしてくれる感じで、意外性が楽しめるわけだ。それを僕の場合は、 iPhoneに取り込み、走りながら聴く。それが、この先も続くのか。フルマラソンを走ることは、絶対にないと思うけれど……。

鄭大世

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