セリエA コンフィデンシャルBACK NUMBER
戦犯は審判だ!
text by
酒巻陽子Yoko Sakamaki
photograph byAFLO
posted2006/02/09 00:00
イタリアの日曜日は、店舗が休業という不便はあるものの、温和な休日には「癒してくれる」という利点がある。ところが最近の日曜日は「平日以上に苛立ちを覚える」ナーバスな日と化したように思えてならない。
「ラ・ドメニカ・ベスティアーレ(恐ろしい日曜日)」
2月5日はまさにそうだった。セリエAの試合を巡って街の至るところで形相を変えたイタリア人による激論が繰り広げられ、サッカー番組の解説者らは血走った目でセリエAのレベルの低下を憂慮するコメントを連発した。
彼らの激怒の原因はリーグ戦での審判のミスにあった。
首位ユベントス相手に熾烈な戦いを見せたウディネーゼが、不可解な退場、オフサイドの見落としなど、度重なる審判員のミスで0−1で惜敗。しかも誤審はユベントス戦に限らず、その日行われた8試合すべてにレフェリーの致命的ミスが生じ、ウディネーゼ同様、リボルノ、サンプドリア、ラツィオが犠牲になった。
「審判には期待できなくなった」
サッカーの基本的なポリシーであるレフェリーが不十分なために、セリエAの将来には大きな不安を感じざるを得ない。しかしながら、勝負の根幹にかかわる審判問題について、残念ながら改善の余地がまったくないのがイタリアサッカーの実状なのだ。
セリエAの不人気の原因にはスター選手不在などいろいろな理由があると思うが、最大の要因は審判の低レベルにあるといっても過言ではない。先に述べた「致命的ミス」の増加に加え、セリエAの主審は判断の甘さから笛に依存する傾向がある。例えば、ホイッスルを吹く回数が他国に比べると断然多く、第23節のラツィオ−ミラン戦では50回以上、サンプドリア−トレビソ戦に至ってはプレーが中断された回数は65をはるかに超えていた。(そんなにファウルとは思えない)プレーが頻繁に途切れることで見せ場、つまりダイナミックさが減る。一貫性のない試合に対して「セリエAはつまらない」と見解されても止むを得ない。
審判員の能力の欠如が第23節の試合結果を曲げたとして、審判協会は6日、4人の審判に無期限休職処分を言い渡し、リボルノ−メッシーナ戦で失態を演じたロセッティ主審に至っては、W杯参加阻止の声もあがった。
「審判員が戦犯」とはいえ、現状を変えることなくして審判員への信頼感が芽生えるとは思えない。セリエAの将来を託すに相応しいレフェリー、「コリーナ2世」を誕生させるしか再生の道はないのだ。
皆がイライラした日曜日。その日疑惑の決勝ゴールで自身189ゴールをあげたFWデルピエロだけは舌をだして笑っていた。