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いよいよ開幕、今季の見所 

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小尾慶一

小尾慶一Keiichi Obi

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photograph byNBAE/gettyimages/AFLO

posted2004/11/05 00:00

 いよいよNBAの季節がやってきた。11月3日に開幕、2月のオールスターゲームを経て、6月のファイナルへ。約8ヶ月の間、世界最高レベルのバスケットボールが楽しめる。相次ぐ大物選手の移籍、9年ぶりに誕生した新チームなど、今年は例年以上に話題が豊富だ。新たな顔ぶれで迎える開幕戦を前に、注目チームをおさらいしておこう。

 まず、ハイレベルな闘いが予想されるウェストから。優勝候補の筆頭はスパーズだ。昨季は連覇を逃したものの、固いディフェンスは健在。NBA最高のビッグマンであるティム・ダンカン、成長著しいフランス人PGのトニー・パーカー、アテネ五輪で活躍したアルゼンチン人SGエマニュエル・ジノビリに加え、オフにシューターのブレント・バリーを獲得した。大負けしないバランスのよい布陣で、今年も堅実に勝ちあがってくるだろう。

 昨季ウェスト最高勝率を記録したウルブズも負けていない。MVPを受賞したケビン・ガーネットが中心となり、ラトレル・スプリーウェルやサム・キャセールといったオールスター級のベテランが脇を固める。新戦力の補強は進まなかったが、昨季のプレイオフで得た経験から精神的な強さは増している。ベテランの年齢を考えるとウルブズは今季がピーク。チャンピオンリングは手を伸ばせば届くところにある。

 実力はやや劣るものの、ロケッツも楽しみなチームだ。ウェスト7位という成績に満足せず、フロントはオフに大改革を行った。スティーブ・フランシスらを放出し、2季連続得点王のトレイシー・マグレディを獲得したのだ。24歳のヤオ・ミンと25歳のマグレディ。伸び盛りのスーパーデュオがかみ合えば、プレイオフで波乱を巻き起こす可能性もある。

 名門レイカーズも生まれ変わった。ファイナルでの惨敗後、シャキール・オニールやデレック・フィッシャー、ヘッドコーチのフィル・ジャクソンらはチームを去り、レイカーズは完全にコービー・ブライアントのチームになった。しかし、新ヘッドコーチにルディ・トムジャノビッチを招き、ラマー・オドム、ブライアン・グラント、ブラデ・ディバッツらの新戦力を加えたものの、移籍した選手の穴は埋まっていない。今季は勝敗よりも、望みの環境を手にしたコービーがどのようなプレーを見せるかに注目が集まりそうだ。

 サンズでは、田臥勇太が日本人初の開幕ロースター入りを実現した。速い展開のバスケットを特徴とするチームなので、出場機会に恵まれれば田臥にも輝くチャンスはある。主力に若手が多く、優勝争いに絡むことはないだろうが、田臥の去就次第でサンズは日本一有名なNBAチームになるかもしれない。

 イーストの優勝候補は昨季の王者であるピスントンズだ。スターター全員――ラシード・ウォーレス、ベン・ウォーレス、テイショーン・プリンス、リチャード・ハミルトン、チャンシー・ビラップス――が健在。さらに、アントニオ・マクダイスを獲得するなど、補強にも抜かりがない。気になるのはヘッドコーチを務めるラリー・ブラウンの体調。アテネ五輪の疲労が抜けていなければ、ピストンズはシーズン途中に失速する可能性もある。

 もうひとつの優勝候補は、昨季リーグ最高勝率を残したペイサーズ。補強が進まず、戦力面でピストンズに水をあけられた感があるが、イースト有数のビッグマンであるジャーメイン・オニールや守りのスペシャリストのロン・アーテストらには成長の余地がある。彼らを中心にディフェンシブな展開に持ち込み、要所で大ベテランのレジー・ミラーが3Pシュートを決める。それがペイサーズの必勝パターンになりそうだ。

 ヒートはイーストで最も話題のチームである。主力選手を惜しみなく放出し、見返りに最強のビッグマン、シャキール・オニールを獲得。得点力とクイックネスに優れたPGドゥエイン・ウェイドとのコンビは、間違いなくオフェンス面で脅威になるはずだ。ベテランのクリスチャン・レイトナーやマイケル・ドリアックらを加え、チームバランスも向上しつつある。オニールの出来次第ではファイナル進出も夢ではない。

 生まれたての新チーム、ボブキャッツは苦しい戦いを強いられるだろう。だが、ドラフト2位のエメカ・オカフォーをはじめ、将来性のある若手をそろえることには成功した。数年後にブレイクする可能性もあるので、じっくりと見守ることができるチームを探している者にはお勧めのチームだ。

 果たして、今季はどんなドラマが待っているのか?シーズンの行方を想像するだけで胸が高鳴る。もしかすると、今が1番楽しい時期なのかもしれない。

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