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コパ・アメリカ正式辞退の内実。
日本サッカー協会、ふたつの誤算。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKYODO
posted2011/05/19 11:55
元FIFA理事にして、『サッカーの国際政治学』(講談社現代新書) の著者でもある小倉純二日本サッカー協会会長をもってしても、今回の難題は解けなかったということか……
欧州組で出場可能だったのは4人だけ?
実際、派遣にGOサインが出ていたのは本田圭佑(CSKAモスクワ)、川島永嗣(リールセ)、森本貴幸(カターニャ)、吉田麻也(VVV)の4人ぐらいだったと言われている。FIFAの協力がなければ、12人を集めるのは至難の業であった。
そしてもうひとつの誤算は、ザッケローニが欧州組のベストメンバーにこだわった点にある。
協会はまず再検討に入ったとき、欧州2部リーグ以上に所属する日本人プレーヤー28人のリストを南米連盟に提出したうえで4月19日にはリストのなかで20人ほどに絞ったことを連盟に伝えた。協会のスタンスとしては震災発生以前、国内組を中心にしたメンバーで経験を積ませる大会としてコパ・アメリカを位置づけていたために、欧州組を主軸として再検討した場合でも同じ方針であったように思われる。南アフリカW杯組の矢野貴章(フライブルク)やA代表経験者の安田理大(フィテッセ)など、ザッケローニ体制でチャンスを得られていない選手たちにも、招集の可能性を期待していたと推察される。
ザッケローニの思惑が日本サッカー協会と大きくズレていた。
しかし、ザッケローニが招集で希望したのは、20人からなおも絞って15人。
この15人のなかにフェイエノールトで活躍する宮市亮も入っていたとされるが、基本的にはザッケローニがこれまで招集してきた選手ばかりが名を連ねていたとされている。
つまりザッケローニは9月にスタートするW杯アジア3次予選に向けた本格的な強化の大会と捉えていて、新たな選手を呼んで経験を積ませる“参加ありき”の大会にしようとはしていなかった。
12人を集めるのに、声をかけるのが20人と15人では違ってくる。指揮官は「欧州のベストメンバーを連れていけないのであれば、辞退やむなし」という姿勢だったようだ。
今シーズンから欧州に飛び出してJリーグと合わせれば1年半のシーズンを送った選手も多い。無理やりメンバーを編成するぐらいならば、オフを優先させたいという思いもあったのではないだろうか。