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鳴り響く“ニッポン・コール”の中、
日本代表が見せた新たなステップ。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/03/30 12:35

鳴り響く“ニッポン・コール”の中、日本代表が見せた新たなステップ。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

「がんばろう ニッポン! サッカーファミリーのチカラをひとつ!」とプリントされたTシャツを着た日本代表選手たち。シャツには、一人ひとりの手書きメッセージも添えられている

選手の個性を活かしたザック流3-4-3の特徴とは?

 守備において選手に意識させていたのが「スライド」。

 相手が一方のサイドでボールを持てば、まず3バックがそのままボールのサイドへと横にずれる。と同時に、逆サイドのサイドハーフ(前半は右に内田篤人、左に長友佑都)が下がって中に絞って対応し、反対側のスペースを消すようにしていた。ここでボランチも、ボールホルダーにアプローチするなどして、逆サイドに大きく展開されないような意識を強く持っていた。

 また、相手がフォワードにクサビのボールを入れてくると3バックの真ん中に入る今野泰幸が前に出ていって積極的に対応したのも特徴的。左右どちらかのストッパーが対応するのが普通だが、今野のボール奪取能力を考慮したうえでの約束事なのだろう。

 ザッケローニは、こう手ごたえを口にする。

「(準備期間が)短かった割には期待した以上の出来だった。ボールを支配してサイドで攻撃した際、右は内田と本田、左は長友、岡崎のところでいいコンビネーションができていたと思う」

 ザッケローニがこれまで3バックに含みを持たせてきた大きな理由に、内田と長友の存在があった。アジアカップを制した翌日の囲み取材でも、「ウチのサイドバック、内田と長友は攻撃に特性を持つ選手」と強調している。つまり彼らの攻撃能力を最大限に発揮させることを考えてきた。

今回のテストから見えた3-4-3システムの課題と収穫。

 彼らを一枚上げることによって攻撃は確かに活性化された。前半24分には本田が下がってパスを受け、岡崎がそれをつないで左サイドのスペースにボールを出し、駆け上がった長友がクロスを上げる場面があった。中でタメをつくってサイドを使う。このサイド攻撃は非常に有効だった。

 長友は言う。

「(監督からは)高い位置を取っておくようにと言われました。このシステムはサイドで数的優位もつくれるし、自分としては非常にやりやすかった」

 ザッケローニという監督は、人材をどう活かすかを考える人だ。ウディネーゼでセンセーションを起こした3-4-3というシステムがまず先にあって、そこに選手を当てはめたのでは決してない。先述した今野の約束事しかり、内田、長友の攻撃性しかり、より個々の特長を活かせる戦術を思案してきた結果、今回のテストに至ったというわけだ。

「DF、MF、FWとパートの距離感に課題は残った。ディフェンスラインのところで押し上げられなかったため、少し全体的に間延びしてしまった。3-4-3は非常に難しいシステム。でも日本人選手の特長を考えると合っているなとも思っている」

 このシステムはまだ最初の一歩を踏み出したに過ぎず、今後、ザック・ジャパンの戦い方として定着していくかどうかは分からない。しかしザッケローニのチームづくりが次のステップに進んだことは言うまでもない。

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