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新加入の槙野智章は活躍できるか?
絶好調のケルンを変えた3つの改革。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/03/02 10:30
FCケルンの育成システムで育て上げられ、ドイツ代表にまで上り詰めたポドルスキ。後にバイエルン・ミュンヘンへ移籍したが、ミロスラフ・クローゼ、フランク・リベリーらの加入に出場機会を減らされ、昨季には古巣へ戻ってきていた
「(理想の実現に)必要なのは、『積極性と情熱』だ」
シェーファーは、チームに3つの変化をもたらした。それがケルン好調の原動力だ。
1つ目は、チームに課したハードワーク。
過去2シーズンにわたりチーム得点王だったノバコビッチは証言する。
「練習では100%の力を出すことを求められるんだ。それが出来なければ、罰則が待っている……」
昨シーズン、試合のあとにケルンの街に繰り出して、深酒。試合翌日の練習に休んで大目玉をくらったノバコビッチも、今は大人しく監督の言うことを聞いている。
第22節に、今シーズン前半戦に躍進したマインツを4対2で下した際、シェーファーが喜んだのは、ある一つのデータがあったからだ。
「我々はチームとして、マインツよりも1キロ以上も多く走ったのだ」
ポゼッションを主体とするサッカーを理想にかかげるシェーファーは語る。
「(理想の実現に)必要なのは、『積極性と情熱』だ」
ハードワーク、積極性、情熱――まるでリーグを席巻しているドルトムントのクロップ監督のスローガンのようだ。南アフリカW杯でのドイツ代表の活躍を経て、ブンデスリーガの選手たちは、技術の高さを世界にアピールした。そんな中で迎えた今季、ハードワークがトレンドになっている。
キャプテンは「ドイツ語を話すドイツ人」に任せるべき。
2つ目が、キャプテンの交代だ。
今年はじめのこと。それまではセンターバックのモハマドがキャプテンを務めていたのだが、「ドイツ語を話すドイツ人がキャプテンを務めるのがふさわしい」と考えたシェーファーは、キャプテンの変更を決めた。新たなキャプテンに任命されたのは、ポドルスキだった。ケルンで生まれ育ち、バイエルンへ移籍したものの、3シーズンを経て、熱狂的な歓迎とともにケルンに帰ってきたクラブのアイドルだ。
ボランチを務めるラーニヒは、新たなキャプテンに早くも頼もしさを感じている。
「“ポルディ”はいつもチームの先頭に立って、火花を散らしてくれるのさ」
シェーファー監督も、ポドルスキの変化に満足気だ。
「ポドルスキはピッチの外でもキャプテンとして素晴らしい役割を果たしている。我々にとって本当に大切な存在なのだ」
当の本人も殊勝なコメントを残している。
「キャプテンとしてみんなの手本となるんだ! より多くのものをチームにもたらすことが出来るように、みんなとの会話をさらに増やしていくよ」
さらに、『スポーツビルト』紙もその変化をこう表現する。
「キャプテン・ポドルスキとともに、ケルンは急激に成功を収めつつある」
前半戦は16試合に出場してわずか4ゴールしか決めていなかったが、後半戦になってからは7試合ですでに6ゴールを挙げているのだ。キャプテン効果たるや、すさまじい。