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人見知りのスーパールーキー田中将大に衝撃…“楽天同期ドラ1”が語るウラ話「ハンカチ王子とマー君は知ってましたが」「高卒1年目なのに堂々と」
posted2025/04/24 17:00

2007年、ルーキーシーズンを前にした田中将大
text by

間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
「ハンカチ王子とマー君」は知っていたけど
2013年に楽天で達成した前人未到の24連勝をはじめ、球界に記録と記憶を残してきた。長年球界のトップを走ってきた田中将大投手は、その素地をプロ1年目から築いていた。
2007年2月。甲子園を沸かせた高卒1年目の田中は春季キャンプで球界の話題を独占するほどの注目度だった。田中が移動すれば、報道陣やファンが大移動する。キャッチボールをしたり、笑顔を見せたりするだけでカメラのシャッターが切られ、歓声が上がった。
その熱狂に驚き、やや冷静に見ていたのが田中と同じ“ドラフト1巡目”だった。
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東洋大学から入団した永井怜投手(現楽天二軍投手コーチ)である。
当時のプロ野球ドラフト会議は「高校生」「大学・社会人」を別々に指名する「分離ドラフト」。楽天が高校生1巡目で指名したのは田中、大学生・社会人の1巡目は永井だった。
「帰国したら話題になっていたので、〈ハンカチ王子とマー君〉の名前は知っていました。でも、夏の甲子園の時期はちょうど日本を離れていて、将大の投球を見ていなかったんです」
2006年の夏、永井は大学日本代表に選出されて約1カ月間、海外に滞在していた。現在のようにスマートフォンで手軽に情報を入手する時代ではなかったため、その時期に日本で起きていた出来事を把握していなかった。「ハンカチ王子とマー君」が演じた激闘を帰国後にテレビで目にしたくらいだったという。
高卒1年目なのに堂々としていましたね
永井は、甲子園のスターの注目度を春季キャンプで実感した。そして、人気だけではない実力をブルペンで知ることになる。
「大学時代に様々な強豪校から入学してくる投手を見てきましたが、将大のスライダーはレベルが違いました。変化量の大きさが突出していましたね。真っ直ぐも高卒1年目とは思えない威力がありました」
春季キャンプではベテランが二軍でマイペースに調整するため、一軍メンバーは若手が中心となる。特に2004年に球団が創設したばかりで歴史の浅い楽天は若い選手への期待が大きかった。決してプロの実績が豊富ではない投手が多い中でも、永井は周囲と自分の力の差を痛感していた。