欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「至る所に14番ユニの子供」久保建英が“バスクで愛される日常”を激写「甥っ子がタケクボって応援してるんだ」醸造所レストランオーナーのこぼれ話
text by

中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2025/04/16 17:07

シーズン終盤を迎えたレアル・ソシエダ。久保建英の“ホームタウンでの愛されぶり”は……?
もちろん、久保が相対するDFだけでなく守備ライン全体も崩壊させるプレーを見せるには、仲間のサポートが不可欠。しかしチーム全体としても、5バックを引く相手の攻略法を見つけることができず終わってしまった。
この日は攻守の要マルティン・スビメンディもやや疲れを感じさせ、また中盤で先発のスチッチも精彩を欠いたように見えた。
背中のダメージを気にするそぶりも
試合後に「2失点とも避けることができた」と指揮官イマノル・アルグアシルがコメントを残したように、最初の失点は左サイドでプレーをするアンデル・バレネチェアのパスがカットされたところから失点している。チームは攻守両面においてサポーターの期待に応えることができなかった。
ADVERTISEMENT
さらに前半、久保がCK、FKキッカーを任される場面が多く、膠着したゲームを打開する役割を期待されたが、ゴールをもたらすことはできなかった。
ソシエダは後半早々の失点で2点のビハインドの中、72分に久保を交代させている。
モヒカを攻略できないなかでの新陳代謝を狙った意図もあったが、前半中頃に痛めた背中の状態も気掛かりとなったか。モヒカと競り合って交錯しながらCKを奪い、ボールの行方を追った直後、崩れるように膝をついて背中を気にしている様子だった。しばらく痛みを感じているそぶりが続き、また試合後のピッチでも背中を気にする様子を見せていたが……。
この敗戦によってソシエダは、マジョルカに順位を抜かれて9位となった。
残すところ7節となったリーガでは、優勝争いで一歩抜け出したバルサとマドリーの戦いも楽しみだが、ソシエダも含めた来季の欧州カップ戦出場権をかけた戦いも注目ポイントとなる。
リンゴのお酒醸造所オーナーの甥っ子も…
久保とこの街の関係性を垣間見たのは、試合後のこと。サンセバスチャン郊外にある、シードラの醸造所併設のレストランへ向かった。シードラとは、リンゴを発酵させたお酒で、日本ではシードルと呼ばれるが、バスクシードラは、より酸味が強く、かなりの微炭酸が特徴的。1月の中旬頃よりシードラのシーズンが始まる。
シードラの飲み放題コースが一般的で、料理はシードラで煮詰めたチョリソで始まり、タラのソテー、バスク牛のステーキと続く。
その間に、立ち並ぶ2メートル超の巨大な樽から直接シードラを注いで飲める。途中、醸造所のオーナーがシードラを注いでくれるタイミングがあった。話を聞いてみると、シードラのことやバスクの文化を教えてくれた。
そして、こんな話も。
「甥っ子がサッカーを見ながらTake Kuboって応援してるんだよ」
スタジアムから離れた場所でも、当たり前のようにTakeの名を通して会話ができる凄さを感じることができた。
〈久保特集:つづく〉
