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「素晴らしいストーリーだ」衝撃の魔球も話題に…菅野智之「35歳メジャー初勝利」をなぜ米メディアは評価する? 現地に根付く“挑戦文化”のリアル
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/11 06:01

35歳でメジャー初勝利を挙げたリアル「オールド・ルーキー」菅野智之。ベテランのチャレンジを“歓迎”する米国文化の中で、徐々に存在感を出していくのかもしれない
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では、なぜアメリカでは「セカンドチャンス」がこれほど尊重されるのだろうか。
第一に、アメリカ社会には「個人主義」と「成果主義」が深く根付いている。
どんなバックグラウンドを持っていようと、フィールド上で結果を出せばチャンスが与えられる。特にプロスポーツの世界はシビアな実力主義でありながら、その分「這い上がり」のストーリーが称賛されやすい。
「オールド・ルーキー」が活躍したら…ドラマティック?
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第二に、ファンやメディアの側にも「挑戦」を応援する文化がある。「再起不能」「この年齢では無理」と見られたような選手が逆境を跳ね返す姿は、観客に勇気を与える。そして、それはドラマティックな物語として映像化・記事化されやすく、ビジネスとしても価値を持つ。
さらにもう一つ、アメリカ社会の多様性を尊重するという価値観もあるだろう。性別、人種、年齢に関係なく、「今を生きる者」に光を当てる姿勢はスポーツの現場にも反映されている。
アメリカ社会は、年齢やキャリアのブランクよりも、挑戦する意志と実力を重視する。遅咲きや再起を果たした選手に対して、シンプルに「今、何ができるか?」に目を向ける土壌があるからこそ、モリスやワーナーやフルーティー、そして菅野のような挑戦者が喝采を受ける余地があるのだ。