「素晴らしいストーリーだ」衝撃の魔球も話題に…菅野智之「35歳メジャー初勝利」をなぜ米メディアは評価する？ 現地に根付く“挑戦文化”のリアル 

　ただ、もちろんそれら全ての選手にバラ色の未来があるわけではない。

　ロサンゼルス・ドジャースに入団した佐々木朗希のように、そもそも全米的な注目度が高い大都市のチームや、若手のスター選手でもなければ、報道の波も決して大きいわけではない。

　それでもチームメイトたちのあたたかなリアクションが示すように、菅野はそのバックボーンも含めてアメリカで愛され、受け入れられはじめている。このまま結果を残し続けることで、前出のテイラー氏が言うような「物語」となっていくのだろう。

同タイミングでのメジャー挑戦となった23歳の佐々木と菅野は実に一回りの年齢差が…　©Nanae Suzuki

キャリアの「第二幕」に挑む物語

ADVERTISEMENT

　菅野の挑戦は、単なる「日本人メジャー挑戦者の一例」ではない。

　それは、成熟した選手が自らのキャリアの「第二幕」に挑む勇気と覚悟の物語なのだ。たとえ道のりが遠回りであっても、努力の先にしかたどり着けない場所がある。

　過去の栄光も、周囲の雑音も関係などない。「今この瞬間」を全力で生き、結果を出した者にこそ、拍手が送られる国。それがアメリカなのだ。