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「新日本プロレス、“急ぎすぎ”では?」後藤洋央紀の“意外な挑戦者指名”に複雑な反応「観客とリズムが合ってない」カギを握る“ふたつのIWGP戦” 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2025/04/10 17:00

「新日本プロレス、“急ぎすぎ”では?」後藤洋央紀の“意外な挑戦者指名”に複雑な反応「観客とリズムが合ってない」カギを握る“ふたつのIWGP戦”<Number Web> photograph by Essei Hara

フォール勝ちした海野翔太はリングで大の字の棚橋弘至に感謝する。4月5日、両国国技館

後藤の思い「谷底へ突き落とすことが彼のために…」

 注目の後藤と海野のIWGP世界戦は、アメリカ・シカゴのWINTRUST ARENAで現地時間4月11日に行われる。

 2月にグレート-O-カーンに敗れた海野は自ら頭を丸め、コスチュームを変え、『NEW JAPAN CUP』では奮闘した。体も一回り大きくなって、表情もよくなってきたが、まだ完全には変われていない感じだ。もう少し、時間はかかるだろう。

 後藤は言う。

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「自分自身が先輩に叩き落とされてここまで来たっていう、そういう思いがあるので、やっぱりここで這い上がろうとする海野をさらに谷底へ突き落とすことで、彼自身のためにもなる。これからの新日本のためにきっとなる。そう信じてますので、ここでしっかりと先輩のオレが叩き潰す。それがオレの役目、責任です。迷っているようには見えてましたが、彼自身が『迷ってない』と言ってるんで、それをリングで確かめたいと思ってます」

 メインイベント。後藤は一度煮え湯を飲まされたフィンレーと激しい試合を見せた。

 好試合だった。フィンレーが用意した場外のテーブルに向ってコーナーからフィンレーを押しつぶすように後藤は飛んだ。

 そしてこれでもかというほど腕を振り上げ、GTRを連発した。「後藤革命」という名の旗印を掲げた45歳の荒武者は覚醒していた。

「これは、おとぎ話ではない。現実だ! 一緒に戦ってくれてありがとう。何度負けようが、あきらめなければ負けではない。子供たちよ。これからいろんな逆境が襲い掛かるかもしれないけど、生きることだけはあきらめるなよ。 次は、アメリカ・シカゴ。戦いたい相手を見つけました。海野、海野翔太! 出てこいよ。見てるだろ? 見てるだろ、翔太? 上がってこい!」

 しばらくして海野が姿を見せた。 

 海野がエプロンに立つと、国技館はブーイングに包まれる。リングを降り通路に向かう海野を、後藤が「待て、待てよ。話は終わってねえ」と呼び戻した。

 リングに入った海野に後藤が問いかける。

「海野、お前にもう迷いはないんだろう。だったら、このベルトをかけて、オレとお前で戦おう。アメリカで新日本プロレスの戦い、オレと海野の戦いを見せつけてやろうぜ。どうだい」

【次ページ】 「ふたつのIWGP戦」どちらがファンの心に刺さるか

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