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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平の同僚「スイングがおかしくなった…」魚雷バットは“魔法のアイテム”ではない? 米識者は未来を予言「ゴルフみたいにバットを選ぶようになる」
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2025/04/10 11:07

MLB開幕直後から話題を独占する魚雷バット。大谷翔平は使用に慎重なコメントを残しているが…
すべてを振り返って、ヤンキースの本塁打ラッシュが魚雷バットとまったく無関係だったとは思わない。ブーン監督が述べていた通り、オーガニゼーション内の努力と研究によって生み出された新兵器はチームの一部の選手にフィットした。自身の好調、相手投手の不出来と相まって、特筆すべき効果をもたらしたのだろう。
近年、MLBでは投高打低が顕著になり、投手の平均球速のアップ、チーム打率の低下が進行していた。そんな中で登場した魚雷バットをうまく生かし、打者のスイング、特徴にあった使い方をすれば一定の効果は出続けるのかもしれない。Statcastなどによって選手の分析が進む現代では、適応する選手を見付けやすいはずだ。
とはいえ、スポーツ界は常にイタチごっこであり、投手側もすぐに適応を考える。魚雷バットを持った打者には内角攻めを控え、外への変化球を増やすといったように投手の攻め方が変化することは容易に想像できる。結局のところ、魚雷バットを発端としたまた新たなせめぎ合いが投手、打者の間で生まれるのだろう。
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ESPNのバスター・オルニー記者と現役時代は通算198本塁打を放ち、昨年引退したエリック・ホズマーは「Baseball Tonight」のPodcastでこう話し合っていた。
「今後、打者は5〜6本の異なる種類のバットを持って球場入りし、打撃コーチとどのバットを使うかを考えるのではないか。まるでゴルフクラブのバッグから特定のクラブを出すように、特定の投手、球種にはこのバットを、と選ぶようになる」
真実は往々にして中間にあるものだ。魚雷バットは“魔法のバット”ではないが、“無用の長物“でもない。現時点で一つ言えるのは、このバットがベースボールに新たな深みを与える道具になるだろうということ。近い将来、重要なショットを打つ際のゴルファーのように、それぞれの打者がまずはどのバットを持って打席に入るかが注目されるようになっても不思議はないのかもしれない。
〈全2回・前編からつづく〉
