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「しぶとい男」DeNAの雑草捕手・戸柱恭孝のルーツを徹底取材…父が明かす“魔神ぶう”と呼ばれた怪童ぶり「あのときの形相は今でも覚えています」
text by

日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byNanae Suzuki
posted2025/04/17 17:01

DeNAの戸柱恭孝捕手のルーツを徹底取材。「魔神ぶう」と呼ばれた怪童ぶりを父が明かした
「こん子はセンスがあっど」
弘美が夕食の支度をしていると、恭孝が姿を消した。まさかと思って車で近隣のグラウンドに向かう。3つ上の兄・新太郎がソフトボールの練習をしている場所だ。
案の定、恭孝がいた。家からは500m以上離れているのに、補助輪なしの自転車を漕ぎ、練習に飛び入り参加していたのだ。
歩み寄ってきた指導者が弘美に言った。
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「こん子はセンスがあっど。保険だけ入ってくれればよかで」
こうして小学生チームに異例の早期入団を認められたことが、球歴の始まりだ。
やがて3つ下の弟・竜之介を加えた「戸柱3兄弟」の名は地元に轟くことになる。3人とも小学生時はソフトボール、中学で軟式野球に取り組み、エースと主砲を兼ねる大黒柱として各世代のチームを牽引した。
我が子の活躍を思い返し、浩一郎は言う。「自分も鼻が高かったです。恭孝はオーラが違ったですね」
特に体格に恵まれていた恭孝には『ドラゴンボール』のキャラクターになぞらえて“魔人ブウ”のあだ名が付けられた。
その怪童と父との直接対決が実現したのは、地区の野球大会でのこと。浩一郎が所属する社会人チームと、恭孝がいる中学生チームが対戦。まずは恭孝が投げたボールを浩一郎が完璧に捉えた。ホームラン性の当たりだったが、足がもつれて三塁打に。その後、マウンドに立った浩一郎は恭孝を左打席に迎えた。
「あのときの形相は今でも覚えてます。親父に打たれたで、俺も絶対打つっちゅうね。直球勝負したらライト側にスコーン! と。松林のほうに場外ホームランですよ」
幼い頃から大の負けず嫌いだった。その性格は父からの「あおいくま」の教えによって補強される。
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