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異色の筋トレ動画が100万再生超…29歳若手監督が率いる“ナゾのマッチョ野球部”の正体「甲子園を目指すため、フィジカル中心に振り切りました」

posted2025/02/20 11:00

 
異色の筋トレ動画が100万再生超…29歳若手監督が率いる“ナゾのマッチョ野球部”の正体「甲子園を目指すため、フィジカル中心に振り切りました」<Number Web> photograph by Zen Suzuki

筋トレ動画がまさかのバズりを見せた藤嶺藤沢高校の野球部。29歳の若手監督率いるチームが「超フィジカル重視」になったワケは…?

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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Zen Suzuki

 高校野球激戦区の神奈川県でいま、ちょっと異色の野球部が注目を集めている。甲子園出場は過去に一度だけの中堅私立校の“ある筋トレ動画”が、SNSで100万回を超える再生数を記録したのだ。29歳の若手監督が率いる気鋭のチームーーその謎に満ちたリアルとは?《NumberWebインタビュー全2回の1回目/つづきを読む》

 高校野球の冬。肉体改造の冬。

 この冬、ちょっと話題になっている高校野球の動画がある。

 話題の主は神奈川県の私学、藤嶺藤沢高校の硬式野球部。

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 昨年12月14日に投稿された2年生の五島湊、小田想真が110kgのベンチプレスを成功させるインスタグラム動画が、思わぬ広がりを見せ、再生回数は瞬く間に100万回を突破した。最近では高校の野球部がインスタグラムの公式ページを持つことも珍しくはなくなってきたとはいえだ。フォロワー数の上位を占めるのは大体が甲子園常連校で、それでも100万回を超えるのは異例のこと。

なぜ「甲子園出場1回」の中堅校がバズった? 

 こう言っては失礼だが、甲子園出場は1985年の1回のみ、プロ野球選手は現役の矢澤宏太(日本ハム)をはじめ、石井貴(元西武)、代田建紀(元ロッテなど)を輩出しているとはいえ、激戦区神奈川では横浜、東海大相模という超強豪どころか、最近では3番手グループにも入るかどうかの中堅私立高校野球部のフォロアー数2200人ほどのインスタ動画が、ここまでバズるとはなかなかの出来事である。

 さらに1月26日に上がった動画では、ぶ厚い胸板をした2年生の松島久梨洲がデッドリフトで200キロを13回、220キロを余裕で5回上げ、これも70万回以上再生されている。

「もう驚かない。慣れました」

 なんて、冷ややかな同級生の反応にも驚いたが、ひっくり返ったのは〆の松島のセリフだ。

「トウレイデ デッドリフト ヤロウゼ」

 なんでカタコト。なんで筋トレの誘い。この野球部はなんなのか。テストステロンのロマンに青春を捧げる筋トレ部なのか。

「野球部です。ただ、このままでは絶対に神奈川で勝つことはできない。本気で甲子園を目指すために、完全にフィジカル中心のチームづくりに振り切りました」

 というのは、一昨年に藤嶺藤沢の監督に就任した菊地幹監督(29歳)。かつての文豪と同じ名前の理論派は、同校の卒業生でもある。父親がドクターマーチン・ジャパンの元社長というビジネスエリートの家系に生まれるも、高校野球の魅力に取り憑かれ監督を志した。大学は日体大に進み教職を取り、6年前に体育教師として母校に赴任。コーチとして野球部に帰ってきた。

【次ページ】 2022年秋、29歳の若さで監督に就任

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