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「もう横綱を目指す実力はないな」貴景勝(28歳)がいま明かす引退の真相「平幕でいいならあと4、5年は…僕のポリシーでその選択はなかった」
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佐藤祥子Shoko Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/02/06 17:01

2024年9月秋場所で引退を表明した貴景勝
地元の兵庫県芦屋市で、4歳時から極真空手を始めた貴信少年。小学校2年の終わりに、「相撲をやりたい」と両親に申し出る。“お受験”で入学した私立の小学校では成績抜群の一人息子。母は大反対だった。
父の言葉「お前、大関で終わるなよ」
「毎日大げんかですよ。父は『将来プロに入って横綱を目指すのなら、相撲をやらせてやる』と。厳しくて妥協しない父で、『お前、大関で終わるなよ』って。この言葉を引退した今も想い出すんですよね……」
周囲は「横綱になる? はいはい、ちっちゃいボクちゃん、頑張りなさいよ」という反応だったが、父子の思いは真剣だった。この日から、ひたすら未来の横綱を目指す日々を送り、中3時には「中学横綱」に輝いた。
「僕は『止まること』と『起こすこと』を徹底しました」
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「僕は器用なタイプじゃないのはわかっていたし、中学3年で身長が止まってしまったんです。体格的にもできることは限られていた。でも、相撲では何かひとつが飛び抜けていれば通用する。僕の場合は突き押しでした」
幼少期から磨き上げた突き押しは独特だ。
「押し相撲のセオリーは、立ち合いで当たった勢いでそのまま足を走らせるのが基本中の基本。でも、僕は『止まること』と『起こすこと』を徹底しました。一度動きを止めてしっかり相手を見て、フェイントを掛けて相手の重心が高くなったら、体を起こしに行く。『起こし相撲』ですよね。どんなデカい相手でも、重心を上にクイッと持ち上げられれば勝てるんです」
日々意識して稽古に取り組んだ結果、それを体得し、「つかむ」ことができたという。それは2018年11月九州場所での初優勝、その直前のことだった。
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