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「試合終了は21時すぎ」「ダブルヘッダーはキツい」春高バレー過密日程に高校生の本音は…?「大人が言っても大人が流す」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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posted2025/01/17 17:17

「試合終了は21時すぎ」「ダブルヘッダーはキツい」春高バレー過密日程に高校生の本音は…?「大人が言っても大人が流す」<Number Web> photograph by AFLO SPORT

今年も多くのドラマを生まれた春高バレー

 そして、何よりの問題点が、試合が行われる時間や順番を出場校は前日まで知らされていないこと。

 そもそも春高バレーの日程に関して調べ始めると、不可解なことは多い。例えば、甲子園であれば、組み合わせ抽選の時点で初戦の対戦相手や勝ち上がった先にどこと対戦するのかが判明し、同時に全ての試合日時が決まる。しかし、春高では対戦カードが出揃ってから主催者であるフジテレビと高体連を中心とした事務局によって振り分けが決められている。

 2回戦までは大会前に発表されているが、3回戦以降が伝えられるのは試合前日。1月12日に行われた男女の決勝でも、優勝した共栄学園・中村文哉監督(37歳)が「前日まで男女の順番が逆だと思っていた」と、苦笑いを浮かべるほどだった。

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 背景には、中継するテレビ局の事情がある。始業式や授業の開始など学校のスケジュールを優先する高体連の意向に加え、地元の出場校の試合を中継したい地方局のリクエストを汲む必要があるため、一概にテレビ局のご都合ばかりを責めることはできない。そもそも、春高バレーが他の全国大会では味わえない規模や豪華な解説陣を招いて実施できるのは、テレビ局が主催であることが大きい。

「地方の高校は練習場所すら確保できない」

 しかし、だ。現場の視点に立つと、どうしても改善点があるようにしか思えない。前述の駿台学園・梅川監督は日程が直前までわからないことで生じる“弊害”を明かす。

「東京近郊の高校は試合時間が何時であろうと、近くに学校があるので練習する場所を確保できる。でも地方の高校はといえば、そもそも自分たちの試合が何時になるかわからないから練習場所すら確保できない。ホテルでの食事時間や、試合に向けた準備。当たり前のことが当たり前にできない、というのは戦う側からすれば非常に厳しい。もっと外に目を向ければ、応援に来てくれる学校関係者や保護者から『明日の試合は何時から?』と言われても、大会2日目の試合時間までしか知らされていないので、ダブルヘッダーの何試合目か、それすらわからないので伝えられません」

 梅川監督は「インターハイなどで他県に行く時は、開催県の先生方にお世話になる。春高は東京開催なので自分がすべきこと」であると、都内の体育館を事前に予約し、要望があればどの学校にも練習会場を用意している。加えて「開会式を1日早め、試合とは別の日にしたほうがいい」「あと1日、試合日程を増やしてダブルヘッダーはなくすべき」など、具体的な議論のスタート地点を示す。

【次ページ】 高校生の本音「大人が言っても大人が流す」

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