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「イチローに入れなかった26人」の理由→「好き嫌い」か、それとも…野球殿堂の権威を揺るがす「投票者非公開」に問われる“プロの記者”の矜持
posted2025/01/17 17:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
JIJI PRESS
今話題のフジテレビ。全社的な女子アナの“上納システム”があるのかどうか。マスメディアとしての信頼が大きく揺らぐ事態となっているが、それとは別に、野球ファンからは絶大な信頼を得ている同局の番組企画がある。
スポーツ情報番組「すぽると!」の名物企画「プロ野球100人分の1位」だ。12球団の選手がそれぞれの部門で「ナンバーワン」と思う選手を1人だけ指名。合計100人の選手による投票で各部門の1位を選ぶ。
“意外な名前”の妙味も…
2024年シーズンは「変化球部門」「打撃部門」「守備部門」「走塁部門」「直球部門」という5つのカテゴリーで100人が選ぶ「ナンバーワン」が決まった。それぞれの部門1位は「変化球部門」が西武の今井達也投手、「打撃部門」がソフトバンクの近藤健介外野手、「守備部門」は広島の矢野雅哉内野手、「走塁部門」はソフトバンクの周東佑京内野手で「直球部門」では巨人の大勢投手が選出された。
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もちろん納得の選出だが、一方で例えば守備部門では阪神の大竹耕太郎投手や、昨年は0票だったオリックスの紅林弘太郎内野手などにも1票が投じられているのも目を引く。あえて12球団の選手全員の中から守備のナンバーワンに選ぶとすれば、ちょっと意外な名前のようにも見受けられるが、それもプロ目線での“ナンバーワン指名”ならばありなのだと思う。
何よりこの投票は誰が、誰に入れたか明確に分かるように表示されているところが、納得度を高めている大きな理由だ。投票する側が責任の所在を明確にしている。そこにこの企画が信頼され、人気を博している大きな理由がある訳だ。
「イチローが満票を逃す」衝撃
そこで殿堂入り表彰の“イチロー問題”である。
殿堂入り競技者表彰のプレーヤー部門で、今年は元オリックス、シアトル・マリナーズなどの外野手で現マリナーズ会長付き特別補佐兼インストラクターのイチローさんとプロ野球記録となる1002試合登板407セーブをマークした元中日投手の岩瀬仁紀さんの2人が選ばれた。