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「ゴール後の方が走りました」久保建英の魅力は“80m疾走弾”だけでなく…本音でオチャメな「クボ節」月曜21時の試合には「怒りも感じます」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2025/01/17 11:01
ビジャレアル戦で文句なしのMVP久保建英。“スーパーサイヤ人”化した髪型も納得のゴラッソだった
83分をプレーして50回のボールタッチでパスを36本中32本通し、さらには2度のチャンス創出。ドリブル成功は6回中4回、デュエルは7回中5回勝利。MVPも納得のスタッツだった。
圧巻の得点とプレーパフォーマンス以外でも、久保は印象的な姿を見せた。それは試合後のこと。会見で自身のゴールを振り返ると共に、ソシエダが強いられる過密日程へも、ユーモアを交えて釘を刺している。
ソシエダにとっては、中2日で国王杯ラージョ戦が迫っていた(対戦相手のラージョは中5日)。
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「木曜には試合があるから、早めにインタビューを終わらせてね」
久保はウインク混じりに話し始め、また相手のラージョの選手は寝ているんじゃない?との質問には、「眠れなくてテレビを見ている選手もいるんじゃないかな」と回答した。
平日21時キックオフの日程に…怒りも感じます
そして真冬の平日夜21時キックオフの試合に関して、実はこう本音を漏らしている。
「来たくても来れなかった人たちには申し訳ないです。(日程に対して)怒りも感じます。どのファンもこの場所にいるに値します」
またこの会見自体が試合後、日付が変わる頃の24時前に行われていた。
「クラブができる限りのことはやってくれているが、僕たち自身では日程に関してはなにもできることはない」
「しっかり休めるように努めるだけ、ドクターに睡眠薬も頼んでいる」
と、その過酷さにも触れている。
ソシエダは16日に行われた国王杯ラージョ戦、3-1で勝利してベスト8に進出。先発出場した久保も前半22分に左サイド深くをドリブルでえぐってラストパスを送り、オヤルサバルの先制点をアシストした。国王杯に加えてリーガ、ELと週2試合の日程が続いていく。久保やその他の選手の起用法も勝敗の鍵になりそうだ。
久保のゴール前、サンセバの美食がたまらなかった
ちなみに取材前のこと――郊外の港町ゲタリアへ足を延ばした。
バスク地方の銘酒チャコリ用の葡萄栽培も盛んだという。町の目抜き通りでは、路面に置かれた炭火で分厚い肉の塊や魚介が焼かれいい匂いに包まれる。またこの小さな町の「Elkano」という星付きレストランでは、世界一の炭火焼き魚が食べれるという。
ゲタリアと聞いてバレンシアガを思い浮かべる人はファッション通、エルカノを思い浮かべる人は食通だというほど。
残念ながら、ここの食費は経費で落ちないということで、エルカノから徒歩数分の地元民おすすめのレストランでお茶を濁した……とはいえ、もちろん近海で採れた新鮮な魚介とチャコリを満喫し、さらには久保のスーパーゴールをファインダー越しに捉えられた。2025年、幸先の良いスタートになりそうです。