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「ゴール後の方が走りました」久保建英の魅力は“80m疾走弾”だけでなく…本音でオチャメな「クボ節」月曜21時の試合には「怒りも感じます」
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2025/01/17 11:01
ビジャレアル戦で文句なしのMVP久保建英。“スーパーサイヤ人”化した髪型も納得のゴラッソだった
「パレホに走り勝つことを意識し、上手いこと頭で前に入り込むことができました」
「その後、1人来ているのが見えたので、ちょっとスピードを落として、イメージが良い形に出ました」
ゴールシーンについて久保は――あたかも当たり前のことをしたまでのように語っているが、パレホに競り勝ったスピードとパワー、約80mを走り切った持続力、そしてゴール前での落ち着きと技術精度、それら全てが詰まった正真正銘のゴラッソとなった。
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スタジアムを覆い始めた、冷え切った空気を一瞬で振り払うゴール。久保は、感情を爆発させながらピッチを横断し、ファンからの歓声を一身に浴びるようにスタンドと向き合った(アシストしたオヤルサバルはなぜか転倒していたが)。
「ゴール後の方がたくさん走りましたけどね」
茶目っ気たっぷりの“久保節”で、このシーンを振り返っている。
試合前練習に「ゴールシーンと同ルートのドリブル」
撮影した写真を見直して、気づいたことがある。キックオフ前のアップのタイミングには、このゴールを予兆させる姿があった。
攻撃陣がまとまってのシュートのタイミング。久保は一人だけ離れると、まさにこの日のゴールシーンと同じルートをドリブルし、左足アウトサイドでカットインからのシュートを試していたのだった。
この試合前半の久保は、対峙する相手を前に真っ向勝負し、縦へ突破する姿が印象的だった。前半早々に、DFアゲルドからのロングフィードを足裏でコントロールし、詰める相手の股下を抜くと、この試合最初の「Take」という歓声がスタジアムを包んだ。
何度となくボックス内のサイド部分、ポケットまで侵入する姿は、強く相手に刷り込まれていた。
そして後半早々の得点シーンでは、見事相手を手玉に取るように左足のカットインからゴールを陥れたのだった。久保は後半38分までプレーし、お役御免でピッチを後にした。その際には、スタンディングオベーションと「Kubo、Kubo」という歓声がスタジアムを包んだ。
ゴールだけではない、MVPも納得の数字の数々
ソシエダは終盤相手に押し込まれる時間帯も増えたが、しっかり守りきり、1-0で勝利すると、久保はこの試合のMVPに選出された。
ファンの前へ挨拶に向かう際の久保は、やや落ち着きすぎているようにも感じられたが、逆にはしゃぐように久保を祝福する仲間の姿が、久保のゴールの価値を物語る。
この試合での久保の活躍ぶりは、ゴール以外のスタッツも雄弁に物語る。