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「まともに練習もしなかった」原晋監督が後悔する“スカウトの失敗”…「絶対やってはいけないことがあります」青学大“選手採用の掟”とは? 

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原晋

原晋Susumu Hara

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photograph byJIJI PRESS

posted2025/01/02 06:00

「まともに練習もしなかった」原晋監督が後悔する“スカウトの失敗”…「絶対やってはいけないことがあります」青学大“選手採用の掟”とは?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

原晋監督が明かす、箱根の常勝軍団・青学大“スカウトの掟”

 私は、一方的な「お願いします」というスタンスが後につながらないことを営業マン時代に学びました。ひたすら頭を下げて、へりくだって契約をいただく営業スタイルは、最後の手段。私はお客様に頼りにされて、仕事以外の面でも知恵を貸し、お互いの利益になる関係をつくることが営業だと考えます。お互いにメリットがある関係を築くことが大切なのです。ビジネス用語を使うなら、Win‐Win(ウイン・ウイン)の関係です。そうならなければ、売ったほうも買ったほうもハッピーになれません。

原監督が後悔する“スカウトの失敗”とは

 Win – Winの関係が監督と選手、あるいは部員間にも必要だと実感したのは、監督就任3年目に経験したスカウトの失敗があったからです。

 3年契約で監督に就任した私は、3年目はどうしても結果が欲しいと焦っていました。そこで、記録優先で選手をスカウトすることに決めたのです。入部が決まったのは持ちタイムで全国ランキングでも上位の即戦力といえる選手たちでした。これで最初の目標である箱根駅伝出場を達成できると思ったのです。

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 しかし、その目論見はもろくも崩れました。

 お願いして来てもらった選手たちは寮則、門限を守らず、まともに練習もしなかったのです。しかし、ずば抜けた素質を持っていたことで、他の部員は腫れ物にさわるように遠巻きに見ているしかありません。

 彼らには「来てやったんだ」という思いが強かったのだろうと思います。逆に、監督のほうが「とってやった」と思ったら、選手が萎縮します。どちらの場合もうまくいきません。

【次ページ】 「私は君をとってやったと思わない。だから…」

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