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〈中央大学〉溜池一太(3年)を今季の快進撃に導いた“アメリカでの衝撃”とレースコントロール術

posted2024/12/16 10:00

 
〈中央大学〉溜池一太(3年)を今季の快進撃に導いた“アメリカでの衝撃”とレースコントロール術<Number Web> photograph by AFLO

11月の全日本大学駅伝で、区間20位ながら卓越したペースコントロール術を披露した溜池

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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 強くなった。

 箱根駅伝の取材を続けていると、1年、いや、季節が進んだだけで強くなる選手がいる。

 中央大学3年、溜池一太。

 この1年足らずの間に、中大にとってのエースと呼ばれる存在になった。

 京都・洛南高校出身。高校に入ると2学年先輩には後に順天堂大学で活躍する三浦龍司(現・SUBARU)がいて、同学年には佐藤圭汰(駒澤大学)がいた。

 高校を卒業して中大に進学してから、溜池はチーム内で頭角を現す。1年生で出場した箱根駅伝では重要な1区を任され、区間4位でまとめて総合2位に大きく貢献した。しかし、2年生のときには年末にチーム全体に感染症が広がり、溜池も体調不十分。同じ1区を走りながら区間19位に終わり、チームも13位とシード権を逃した。

 箱根駅伝に限っていうならば、溜池は「明と暗」を経験したわけだが、競技者としての溜池はここから大きく飛躍する。きっかけは、2回目の箱根駅伝が終わってからアメリカに向かったことだった。

アメリカで得た最高の刺激

 一緒に練習を積んでいたアメリカのグラント・フィッシャーが、5000mで12分51秒84をマークした瞬間をボストンで目撃した。

「僕自身、洛南、中大と恵まれた環境で練習を積んできました。洛南では三浦先輩、中大では吉居大和さんや、中野翔太さんといった学生トップレベルの先輩方と一緒に練習ができましたから。それでも、5000mで12分台を目の当たりにして衝撃が走りました。ラスト1周のスピード、すごかったです。そのためにどんな練習をして、最終的にどうコンディションを合わせていくのか。5000m12分台、10000m26分台は手が届かないものではなく、実現可能なものと感じられたんです。アメリカは、自分に最高の刺激を与えてくれたと思います」

 溜池の言葉に偽りはない。3年生になると快進撃が始まった。

 7月10日。ホクレンディスタンスチャレンジ2024網走大会の10000mで、27分52秒38の自己ベストをマークし、中大の学生としては初めて28分の壁を突破した。

 その後の千歳大会では、5000mで13分28秒29の自己ベスト。10000mにターゲットを合わせていたなかで5000mでも自己新記録が出せたのは、溜池の底力が上がっている証左だった。

【次ページ】 レース展開をコントロールする能力

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