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「甲斐優斗がいるのに勝てない状況が続いてて…」男子バレー名門撃破の専修大“インカレ初制覇”の舞台ウラ、4年生たちが“日本代表の後輩”に恩返し
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byUNIVAS/Aki Nagao
posted2024/12/06 17:00

専修大のインカレ初優勝に貢献した甲斐優斗(3年)。日本代表での経験値をチームに還元した
優勝候補の一角・中央大学と対戦した3回戦は、甲斐が第5セット終盤に強烈なジャンプサーブでエースを奪うなど勝負強さを発揮して競り勝ったが、準々決勝の順天堂大学戦、準決勝の近畿大学戦は甲斐の打数を抑え、他のスパイカー陣が存在感を発揮した。
決勝進出を決めたあと、井出は言った。
「優斗のパイプって100%決まるんですけど、やっぱりこの大会はマークされきっている印象で。彼はそれでも決め切るからすごいんですけど、ちょっと厳しい場面も出てくる。全カレって6連戦なので。決勝で優斗が一番花咲けるようにしなきゃいけないので、昨日(準々決勝)今日(準決勝)は、周りが頑張ってくれたからちょっと温存しながら、というのは頭にありました。
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他の選手が打って、最後は優斗が決めて、というのが一番いい試合。そういうシナリオができたらいいんですけど。明日は楽しんで勝って、優斗が日本一になれたら。自分の実力で勝ち上がってきているわけではないので、優斗に感謝の気持ちを込めて、頑張っていいトス上げたいなと思います」
会場がどよめいた甲斐の一撃
日本体育大学との対戦となった決勝の立ち上がり、井出が託したトスを、レフトの甲斐が2枚ブロックの上から渾身の力で叩き込む。日体大のリベロ高附雄大郎はコースに入っていたが反応できず顔面に直撃した。
会場の度肝を抜く一撃に、スタンドからは「エグ!」「違いすぎる……」という声が漏れた。
さらに、味方が好守備でチャンスを作ると、2点目もブロックの上から豪快に、3点目は3枚ブロックの内側に技ありのスパイクを決め、3連続得点で3-0とスタートダッシュに成功。周りの緊張を解き、一気に乗せた。
「一昨日と昨日は、自分が目立つというより、周りの選手がすごくいいプレーをしてくれていたので、自分も何かしたいというふうに思って今日は入りました」
試合後、そう言って甲斐は微笑んだ。