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「甲斐優斗がいるのに勝てない状況が続いてて…」男子バレー名門撃破の専修大“インカレ初制覇”の舞台ウラ、4年生たちが“日本代表の後輩”に恩返し
posted2024/12/06 17:00

専修大のインカレ初優勝に貢献した甲斐優斗(3年)。日本代表での経験値をチームに還元した
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
UNIVAS/Aki Nagao
バレーボールは1人では勝てない。だが1人の力でチームを変えることはできる。
今夏チーム最年少の20歳でパリ五輪に出場したアウトサイドヒッター甲斐優斗(まさと・専修大学3年)が、それを証明した。
12月1日まで開催された全日本インカレで、甲斐が牽引した専修大学が悲願の初優勝を果たした。
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表彰式のあと、専修大の竹内慶多主将(4年)が晴れやかな表情で言った。
「優斗がいるのに勝てないっていう現状が続いてて……。この全カレ(全日本インカレ)だけは絶対に決勝の舞台に立って、優斗にメダルをかけたいという思いがあったので、それを達成することができて本当に嬉しいです」
前日の準決勝後にはセッターの井出脩斗(4年)も、「優斗を日本一に」と語っていた。
全日本インカレは4年生にとって大学最後の大会(一部12月中旬の天皇杯に出場するチームもあるが)。毎年下級生が「4年生のために」「4年生にメダルを」と言うのを聞くが、引退する4年生が後輩のために「優斗を日本一に」と口にするのが新鮮だった。甲斐の存在の大きさと、4年生の人柄が窺えた。
「甲斐が帰ってきてから周りが急激に伸びた」
名門が揃う関東大学1部リーグにあって、失礼ながら専修大は強豪とは言い難い。全日本インカレでは過去に1度ベスト4入りしたのが最高成績で、一昨年は初戦敗退、昨年は2回戦で筑波大学に惜敗した。リーグ戦でも春は10位、秋も7位に甘んじていた。
そのチームが日本一へと駆け上がることができたのは、日本代表やパリ五輪を経験した甲斐の進化と、それに呼応した周囲の成長があったからだ。
専修大の吉岡達仁監督は「甲斐が持って帰ってきたものにすごく刺激を受けて、周りが急激に伸び始めたのは間違いない」と言う。