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大谷翔平は“制限つき”でヤンキース戦出場へ?「…だからドジャースはGOを出せた」左肩脱臼シーンを見た元MLBセラピストが“緊迫のベンチ裏”を考察
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2024/10/29 06:00
駆け寄るトレーナーに脱臼したことを自ら伝えた大谷翔平。ニューヨークに移動して迎えるWS第3戦への出場はなるか
大谷選手本人も、これだったらいけるという感触を得たというのが一番大きいんじゃないでしょうか。トレーナーズルームでドクターが肩にいろんな角度で負荷をかけ、この角度はどうか、この角度ではどうなのかと不安定感がチェックされたはずです。打撃時だけではなく、ランニング時、腕を大きく振るといった動作をした際にも亜脱臼した部分に負担はかかりやすいと言われているので、その部分にどれだけ影響があるかというところも絶対に確認しているとは思います。それらを細かく評価をした上で、いけるという判断が出たのでしょう。
大谷選手が右打者だったら話は変わってきたかもしれません。右打者の場合、スイングのフォロースルーで左腕が上がり、なおかつ左手の掌が上に返るような形になってしまいます。そのような動作が肩にはかなり負担をかけます。
それが大谷選手は左打ちのため、フォロースルーの際に左肩が内側に入るため、一番リスクの高い肢位にはなりずらいのです。そう考えると、左打ちの大谷選手にとっては左肩だったのは幸いだったのだろうと思います。
「ヘッドスライディングはしないとか…約束事はある」
“脱臼は癖になりやすい”、という話を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。脱臼にしろ、亜脱臼にしろ、実際にダメージの度合い次第で慢性化しやすいものもあります。すべてのケースが繰り返しやすいかといったらそうではないんですけど、ダメージが深かった場合、筋肉、靭帯などの組織が傷つき、脆くなってしまうことによって、反復性脱臼になり易いのは事実です。
そんな事態を避けるため、ドジャースと大谷選手の間で無理なプレーは避けるという話し合いはされているのではないかと思います。今回のようにスライディングした際でも左手をついたりはしないとか、ヘッドスライディングはしないとか、そういったことは徹底して約束事として確認しているとは思います。出場するのであれば、それらのやりとりをした上での決定になるはずです。