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「全プロ野球選手にとって憧れの舞台」杉谷拳士のSMBC日本シリーズへの想い。そして、社長に転身してからのお金事情を赤裸々に語った 

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福田剛

福田剛Tsuyoshi Fukuda

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photograph byShiro Miyake

posted2024/10/18 11:00

「全プロ野球選手にとって憧れの舞台」杉谷拳士のSMBC日本シリーズへの想い。そして、社長に転身してからのお金事情を赤裸々に語った<Number Web> photograph by Shiro Miyake

杉谷拳士がSMBC 日本シリーズ 2024を予想

 目前に迫ったSMBC 日本シリーズ 2024の組み合わせを杉谷は、パ・リーグがファイターズ、セ・リーグはジャイアンツと予想する。

「やっぱりファイターズでしょ。一緒に戦った若い選手たちが大人になって成績を残しはじめているのがすごく嬉しいですし、日本シリーズのヒリヒリするような経験をみんなにも味わってもらいたい。ジャイアンツは2012年に僕たちが負けているので、そのリベンジをしてほしいという想いを込めました。プロ野球を盛り上げるためにも最終戦までもつれてもらって、7戦目をファイターズが勝って優勝というストーリーです。新庄さんが胴上げされている姿がちょっとイメージできないので、ぜひこの目で見てみたいですね」

※この取材はクライマックスシリーズ前に行われました。

中田翔との出会いがなければ、14年の現役生活はなかった

 ドラフト6位で入団し、14年間もの長きにわたり現役でプレーできたのは、1学年上の先輩である中田翔との出会いが大きかったと、杉谷は言う。

「僕も高校時代はホームランも通算で25本打っていますし、長打力には自信があったんです。それがプロ入りして中田さんのバッティング練習を見た瞬間に、これは勝負にならないなと……。じゃあ長打力にこだわっていたら試合に出られない。中田さんにないものはなんだと考えるようになりました。他の人にはできない自分だけの武器を見つけて磨いた結果がスイッチヒッターで、内、外野を守れる、しかも走らなきゃいけない。もし中田さんに出会ってなければ、おそらく自分の実力を勘違いしたまま、すぐに首になっていたと思います。とても14年も野球を続けられていなかったと思います」

 ただ「お金の使い方だけは、諸先輩方を見習わないようにしました。豪快な人が多いので、これは絶対に真似したら駄目だなと思っていました」と、笑う。

「プロ野球選手になると、みんなブランド品、そしてクルマがほしくなる(笑)。でも、僕は野球の練習と同じくらいお金の管理というのは大事と感じていたので、自分の実力、年俸に見合ったお金の使い方を心がけていました。プロ野球選手は年俸を12分割した金額が、毎月振り込まれるので最初に貯蓄に回す分は取っておいて、クルマもみんなが毎年のように外車に買い換えているなか、ずっと国産車に乗っていました。実は意外と堅実なんです。ただ、人にはお金を使いたいなと思っていたので、後輩たちと食事をするときは惜しまずご馳走していました」

 後輩の食事代は先輩が出すのがプロ野球界の慣例。それは後輩の年俸が自分より上であっても変わることはない。

「2億円、3億円もらっている後輩から『拳士さん、ご飯行きましょう』と言われたときの僕の気持ち分かります?(笑)しかもとにかく食べるので、本当に覚悟して行ってました。クレジットカードで支払うことが多かったですけど、何枚も持っていたので、どのカードで幾ら払ったのかまでは管理していなくて、口座から引き落とされた金額を見て、今月は使い過ぎたなと真っ青になったこともあります」

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