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《日本GPの見どころ》小椋藍、Moto2初戴冠へまっしぐら…母国の勝利を確信するに足る「アドバンテージ」とは
posted2024/10/03 11:01
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
今週末、第16戦日本GPがモビリティリゾートもてぎで開催される。注目すべきは総合首位でホームGPを迎えるMoto2クラスの小椋藍だ。
ここまで15戦を終え、3勝を含む6回の表彰台に立ち208点を獲得。チームメートで総合2位のセルジオ・ガルシアに42点差、総合3位のアロン・カネットと総合4位のアロンソ・ロペスに52点差をつけている、残り5戦でこの点差は小椋にとって「大きなリード」といえ、この先、大きなミスをしなければタイトル獲得がぐっと現実味を帯びる。日本GPはまさにタイトルの行方を占う重要な一戦であり、ここからは間違いなく「自分との闘い」となる。
これまで小椋は2度のタイトル争いを経験し、ともにタイトルを逃した。最初はMoto3クラスにデビューして2年目の2020年で、最終戦決着までもつれこむも逆転ならず総合3位に終わった。翌21年にMoto2クラスにスイッチした小椋は2年目の22年にタイトル争いに加わり、最終戦決着で転倒して総合2位と涙をのんだ。小椋は常に追う側の立場だったが、ライバルはしっかり点差をキープする戦いに終始し、逆転勝利は果たせなかった。
Moto2ラストイヤーの挑戦
3度目のタイトル獲得のチャンスが巡ってきた今季、チームメートがライバルとなるのは初めての経験となった。小椋とガルシアはシーズン序盤からタイトル争いをリードしてきたが、ガルシアは後半戦に入って古傷の右肩などを痛めてリザルトが低迷。その焦りもあり、この数戦は転倒が続いた。地元スペインにさえ「右肩の状態は悪く、彼のチャンピオンシップは終わった」と厳しい評価を下す声もあるが、小椋の最大のライバルであることに変わりはない。
そのガルシアに加え、カネットとロペスが小椋のライバルに急浮上してきた。特にカネットはインドネシアGPで今季2勝目を挙げただけでなく、3戦連続で表彰台に立っている。とはいえ、どのサーキットでも表彰台争いに加わってきた小椋の安定感に比べれば、チャンピオンシップを脅かすほどの脅威はない。
小椋はホンダチームアジアに所属していた昨季までバルセロナに拠点をおいていたが、今季は埼玉県にも拠点をおいた。マドリードを本拠地とする「MTヘルメット-MSI」に移籍しプロライダーとして自立した今季は、バイクトレーニングの環境が整っている日本に6月と7月に帰国し、日本GPの舞台となるもてぎとタイGPの舞台となるブリーラムに遠征してトレーニングを積んだ。