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守田英正「鎌田は守備しないで歩く」発言も…クリスタルパレスで鎌田大地が変わった「今までのやり方じゃダメ」現地記者に語った“自分改造計画” 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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posted2024/09/26 17:10

守田英正「鎌田は守備しないで歩く」発言も…クリスタルパレスで鎌田大地が変わった「今までのやり方じゃダメ」現地記者に語った“自分改造計画”<Number Web> photograph by AFLO

今夏、クリスタルパレスに移籍した鎌田大地(28歳)。9月21日のマンチェスター・U戦で自身初のフル出場を果たした。

「攻撃的MFのカマダは、スペースに入る動きが抜群にうまい。前線でスペースを見つけると体をくるっと反転し、ポケットに侵入して決定的な仕事をする。相手からすれば、彼を捕まえるのが難しい。宝石のような選手だ」

 テクニシャンとして知られたJ・コールの言葉は、イングランドのジャーナリスト、そしてフットボールファンが鎌田に抱いているイメージを端的に表している。しかし鎌田は、マンチェスター・U戦の4日前に行われたリーグ杯・QPR戦に続き、2試合連続で守備的MFとして先発した。

 攻撃センスをフルに発揮できる攻撃的MFではなく、守備タスクの増えるボランチでの出場。英メディアでは「特性を生かせていないのでは?」との意見もあるが、その背景には何があるのだろうか。

鎌田にパスが出てこなかった

 思えばプレミアリーグ開幕戦となったブレントフォード戦(8月18日)で、鎌田は3−4−2−1の攻撃的MFで先発した。気になったのは、鎌田がタイミング良く前線に飛び出しても、味方からパスが出てこなかったことだ。試合後この件について聞いてみると、鎌田はこう語った。

「クリスタルパレスは、前線の選手たちの能力がすごく高い。敵を背負いながらキープできるような選手が多く、僕みたいな(スペースに走り込む)動き出しをする選手があまりいない。

 ブレントフォードは、DFラインを結構高い位置に設定していた。だから、自分が足元でボールを受けるより、できるだけ背後に抜け出そうと思っていた。

(攻撃的MFでコンビを組んだ)チームメートのエベレチ・エゼは、そういうタイプの選手ではない。その分、自分が裏に抜け出していって、という感じに思っていました。自分が良いタイミングで動き出した場面も何回かあったが、(あまりパスが出てこなかったので)そこはまたチームメートと話していきたい」

 もともとクリスタルパレスは、「個の力」を全面に押し出すサッカーを展開していた。前監督は老将のロイ・ホジソン。基本戦術は「堅守速攻」で、攻撃はアタッカーの個人能力に依存する傾向が高かった。

 一方の鎌田は、スペースへの侵入やワンツー突破など周囲と連係しながら攻撃を奏でるタイプ。フランクフルト時代に鎌田を指導し、今年2月にクリスタル・パレスの新指揮官に就任したオリバー・グラスナー監督は、こうした特性を持つ鎌田を加えることで、チームのカラーを少しずつ変えようとしているのだろう。

 しかし繰り返しになるが、クリスタルパレスの戦術は元々「堅守速攻」である。少し乱暴に言えば、前線の選手の足元にボールを預け、力で押し切る攻撃が基本型だ。揃っている選手も前任のカラーに適したプレーヤーばかりで、コンビネーションで崩す攻撃はあまり見せない。

鎌田が語った「違うやり方でないとダメ」

 開幕戦から約1カ月が経過して迎えた英2部QPRとのリーグ杯3回戦(9月17日)で、鎌田の考えに少しばかり変化が見えた。この試合で、日本代表は守備的MFとして先発。記者から「周囲との連係は時間が解決してくれると思うか」と質問が飛ぶと、鎌田は次のように答えた。

【次ページ】 鎌田が語った「違うやり方でないとダメ」

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