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男子バレー“笑顔の守護神”に壮絶な過去「あの頃は、ほぼご飯食べてなかった」リベロ山本智大(29歳)がどん底から日本代表のチャンスを掴むまで《パリ五輪BEST》 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byXinhua/AFLO

posted2024/08/17 11:03

男子バレー“笑顔の守護神”に壮絶な過去「あの頃は、ほぼご飯食べてなかった」リベロ山本智大(29歳)がどん底から日本代表のチャンスを掴むまで《パリ五輪BEST》<Number Web> photograph by Xinhua/AFLO

日本代表を支えるリベロ山本智大(29歳)

 それだけで満足しなかったのは、当時日本代表を率いていた中垣内祐一監督の言葉があったからだ。当時の代表には経験豊富な古賀太一郎、築城智がおり、「お前は3番手だから」と言われた。

「そこで『くそっ!』という気持ちになって、頑張って絶対に試合に出ようと思った。中垣内さんの一言が、僕に火をつけてくれたというか。イラつかせてもらったほうが、燃えるタイプだと思います(笑)」

 ネーションズリーグでアピールし、代表1年目にしてワールドカップで正リベロの座をつかんだ。トントン拍子に成り上がった守護神は、2021年の東京五輪出場を果たす。

 場数を踏むごとに自信をつけ、プレーだけでなく、周囲に指示したり鼓舞する声でも存在感を発揮。代表に欠かせない存在となっていった。

 特に天性の嗅覚による位置取りや、脱力して強打の勢いを殺す技術を活かしたディグは、世界の強豪も恐れ、山本のところにスパイクを打つことを避けるほど。

 だが、その山本が2024年、いまだかつてない苦しみを味わうことになる。

後編に続く)

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