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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「キツかったですね。小川派、山本派とか」それでもリベロ山本智大が盟友・小川智大の想いを背負うと決めた理由「一番最初にメダルを渡したい」
posted2024/08/02 11:38
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Xinhua/AFLO
「生きた心地がしないです……」
今年のネーションズリーグ予選ラウンド第3週のフィリピン大会に向かう前、山本智大(大阪ブルテオン)は顔を引きつらせて言った。
「うらやましいですよ。普通にプレーできるポジションの人たちが。どちらになるにしても、早く言ってほしいです……」
ネーションズリーグの予選ラウンドはパリ五輪のメンバー選考の場でもあった。
特にリベロは、フィリップ・ブラン監督が「世界一」と評する、山本と小川智大(ジェイテクトSTINGS愛知)の2人が揃う。バレーボールの国際大会は登録メンバーが14名のため、リベロは山本、小川の2人体制で戦ってきたが、五輪でベンチ入りできるのは12名。ブラン監督は今年の代表合宿が始まる前、2人に「オリンピックには1人しか連れていけない」と告げていた。
トレードマークの“笑顔”が消えた
山本はこう語っていた。
「『試合については半々で出す』ということと、『2人とも世界のトップにいる。どちらもいいからこそ、その中で競い合っていいパフォーマンスを出してほしい。どちらが選ばれてもおかしくない』と言われて。『めっちゃプレッシャーかけんじゃん』と思ったんですけど(苦笑)。もうやるしかないと腹をくくりました」
昨年までは山本の出場機会が圧倒的に多かった分、追われる立場に感じ、今までにないプレッシャーがのしかかった。
これまではどんな試合でも楽しそうに躍動し、笑顔がトレードマークだった山本から、ネーションズリーグでは笑顔が消えていた。
「もう楽しむとかそういう次元じゃなかった。生き残ることがすべてなんで。楽しめなかったです」