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「無残な負け。もうダメ」なでしこ谷川萌々子30m弾にガク然も…銀メダルで“手のひら返し”ブラジル女子サッカー暗黒史「約40年も禁止令が」 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byMutsu Kawamori

posted2024/08/14 11:01

「無残な負け。もうダメ」なでしこ谷川萌々子30m弾にガク然も…銀メダルで“手のひら返し”ブラジル女子サッカー暗黒史「約40年も禁止令が」<Number Web> photograph by Mutsu Kawamori

パリ五輪女子サッカーで銀メダルを獲得したブラジルのマルタ。なでしこジャパンに衝撃的な逆転負けを喫した際には批判を受けたようだが……。

 この39年の空白期間は、女子のフットボールの普及と強化を著しく妨げた。初の全国大会としてブラジルカップが創設されたのは1983年で、女子代表が初めて結成されたのは1986年だった。

 3つ目の銀メダルを手にしたマルタは「今後、私がW杯や五輪でプレーすることはない」と代表からの引退を明言した。その一方で、「このチームにはFWのガビ・ポルチーリョ、GKロレーナら世界トップクラスの選手がおり、FWプリシラ(19)、CBタルシアーニ(21)ら将来性豊かな若手もいる。今後は、彼女たちを陰から応援したい」と語った。

 そして、このようにも訴えている。

「女子代表が世界一になるためには、もっと多くの人たちのサポート、支援が必要です」

組織と人気が根付いている欧米と比べると…

 この「女王」の願いが聞き入れられるかどうか。日本もそうだが、組織と人気がしっかり根付いている欧米の数カ国を除き、世界の多くの国では女子代表が国際大会で好成績を残し続けなければ、その国の女子フットボールはたちまち存続の危機を迎えてしまう。

 特に、ブラジルは男子代表の存在があまりにも大きい。また、先に述べたような文化的、歴史的な事情も抱えている。

 だからこそ、パリ五輪での女子代表の銀メダル獲得は快挙と言っていい。

 ブラジルで女子のフットボールがさらに発展し、女子代表が強くなることは、世界の女子フットボールにとっても有益なはずだ。また、ブラジル国内においても近年、低迷する男子代表への刺激材料となったのではないか、と考えている。〈つづく〉

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