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「カオルと1対1? 二度とやりたくない(笑)」“利益230億円超に31歳新監督”ブライトン、三笘薫と仲間から直接聞いた本音「強い相手にも…」
posted2024/08/17 11:01
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Kiichi Matsumoto
31歳新監督は「攻撃と守備の程よいバランスを重視する」
「エスタブリッシュメントに立ち向かっていきたい」
今季からブライトン&ホーヴ・アルビオンを率いるファビアン・ヒュルツェラー新監督は、就任会見でそう語った。初挑戦のプレミアリーグで支配者たち──ロンドンや北西部のビッグクラブたち──に挑んでいくことを約束した現在31歳のドイツ人指揮官は、海風香る南部のビーチタウンを本拠とするクラブにふさわしいフレッシュな指揮官だ。
アメリカはテキサスで生まれ、ドイツのバイエルン・ミュンヘンの下部組織でプロを目指していた頃から指導者としての才を見せ、当時のチームメイトだったエムレ・ジャン(現ボルシア・ドルトムント)に「素晴らしい監督キャリアを送るだろう」と言われている。そして昨季、シニアレベルで初めてシーズン開始から正式に指揮を執ったFCザンクトパウリをブンデスリーガ2部の優勝に導き、ブライトンのトニー・ブルーム会長の眼鏡にかなった。
日本でのプレシーズンツアーで見た限り、ヒュルツェラー監督にはドイツ代表のユリアン・ナーゲルスマン監督をはじめ同国の気鋭の若手指揮官に共通するアイデアが感じられた。前任の超攻撃的なイタリア人監督ロベルト・デ・ゼルビと同様の勇敢さを持ちながら、「私は常に攻撃と守備の程よいバランスを重視する」と本人は語っている。
新監督いわく「見事なパフォーマンスを見せた」
そんな新監督が率いる新生ブライトンでも、三笘薫はチームの浮沈のカギを握る存在だ。そもそもこの27歳の日本代表がいなければ、ブライトンがクラブ史上初の日本ツアーを行うこともなかったはず。その意味でも、最も重要な選手のひとりなのである。
「立ち上がりはコンパクトにできていたのですが、暑さもあって途中から前に出ていけなくなって、サイドで数的優位を作られて運ばれるシーンが多かった。前がいくのか、後ろが引き込むのか、その課題もまだある。ただ監督は、前からどんどんチェイスして、強度を高くやりたいはずなので、フィジカルを高めていかないと」
7月24日に国立競技場で鹿島アントラーズに5−1の完勝を収めた後、三笘はそう試合を振り返った。