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「日本人選手は全然質問しなかった」涙の退任、ブラン監督は日本バレーを8年間でこう変えた…天才セッター関田誠大への気遣い「セキタ、バレーを楽しもう」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2024/08/10 17:05
退任するブラン監督と涙の西田有志。ブラン監督は2017年に来日。コーチ時代から約8年間、日本代表を指導してきた
「向上したのはすべてのエリア。特にディグについては精度が高まり、チームとしてのディフェンスは世界のトップレベルに到達したと思います」
イタリア戦で日本は見事なディフェンスを見せた。リベロの山本智大は22/35、高橋藍は14/21とイタリアの強烈なアタッカー陣に簡単に得点を与えないどころか、危機を好機へと変えた(高橋のイタリアでのリベロとしての活躍も、決して無駄ではなかったと思える)。
もちろん、これだけディグが成功したのも、ブロッカー陣との連動をチームとして究めようとしてきたからだ。
「世界トップレベル」関田を高評価
そしてブラン監督は、セッターの関田誠大の成長を高く評価していた。
「トスについても世界トップクラスのレベルに到達しました」
現代バレーボールの要諦は、データ分析による戦術の立案、そして試合中も相手プレーの傾向をいち早く読み解き、修正を施していくことにある。
7月23日付の「北海道新聞」には、データ分析を担当する伊藤健士コーチの話として、「1試合の勝敗に関して、データが占める割合は『15%ほど』」と紹介されていた。15%は少なくない割合だ。そしてその分析をもとにアタックを組み立てるのが関田だった。
関田は「勝ち続けてきた男」である。
駿台学園中学では3年生の時に全国優勝。そして東洋高校に進学、1学年先輩には柳田将洋がいた。東洋高校では2010年の春高バレーで優勝し、中央大学に進学。2014年のインカレでは1年生だった石川祐希と共に、中大としては18年ぶりの優勝を達成した。関田の行くところ、常に優勝の二文字があった。
「関田には、バレーボールを楽しんで欲しい」
ただし、ブラン監督は勝ち続けてきたことには副作用も伴うと話す。