スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「日本人選手は全然質問しなかった」涙の退任、ブラン監督は日本バレーを8年間でこう変えた…天才セッター関田誠大への気遣い「セキタ、バレーを楽しもう」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2024/08/10 17:05
退任するブラン監督と涙の西田有志。ブラン監督は2017年に来日。コーチ時代から約8年間、日本代表を指導してきた
イタリア戦、ブロックによるポイントはイタリア15に対して、日本は2。漫画の『ハイキュー‼』でいえば、「ドシャット」というブロックは、やはりイタリアのものだった。ブロックだけで5点をマークした207センチのロベルト・ルッソ、3ブロックを決めた201センチのジャンルカ・ガラッシの問答無用のブロックを見ると、世界の高さを実感せざるを得ない。
日本は西田と高橋藍がひとつずつブロックを決めたが、ミドルブロッカーのポイントはゼロ。日本はワンタッチを奪ってからつなぐというシステムが主眼とはいえ、やはりこの数字が示す現実は重たい。
4年後のロサンゼルス大会に向けて、日本は弱点である「中央線」をどのような発想で強化を進めていくのだろうか。興味は尽きない。
だが、64歳のブラン監督は日本代表の監督を退き、韓国の天安現代キャピタルでの監督就任が決まっている。去年の時点で、監督は自分の生活について、こう話していた。
「日本代表での活動はハードワークを求められます。趣味に費やす時間もありませんよ。私の趣味ですか? 釣り、それに料理かな。でも、日本では釣りに行ったことはないし、料理をする時間も取れなくてね」
中興の祖は去る。
日本のバレーボールは、どうつながっていくのか。