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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「ホソヤのオフサイド以上に痛かった」パリ五輪スペイン戦“本当の敗因”…ブラジル人記者の指摘と「A代表ですぐプレーできる」3人の名は?
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/08/06 19:05
スペイン戦、日本代表の先発メンバー。ブラジル人記者が見たリアルな評価は?
「オーバーエイジ(OA)も23歳以下の有力選手数人も呼べなかった時点で、個人的には『メダル獲得は極めて困難』 と考えていた。にもかかわらず、グループステージ(GS)を3戦全勝の首位で突破した。また、強豪スペインがC組2位となり、準々決勝で対戦する不運もあった。まずまず良くやったと言えるのではないか」
――スペインもOAとして3人を招集しました。ただし、すでにA代表で活躍している17歳のFWラミン・ヤマル、21歳のMFペドリらすでにバルセロナの主力になっている2人を筆頭に、23歳以下の有力選手がEURO出場や負傷の影響で未招集でした。
「その通り。五輪はあくまでも制限付き。年齢別の大会だ。それぞれの国が、制約がある状況でベストを尽くす」
“すぐにA代表でプレーできる”3人の名前は…
――話を今大会の日本代表に戻しましょう。この大会で高く評価する選手は?
「藤田はすべての試合で、攻守両面にわたって素晴らしいプレーをした。小久保は、スペイン戦でこそ彼らしくないミスがあったが、それ以外の試合では決定的なピンチを何度も防いだ。細谷も、U-23アジアカップのときとは別人のように危険なストライカーに変身していた。チームのために献身的なプレーを続け、イスラエル戦で決勝点を決め、スペイン戦では“幻のゴール”とポスト直撃のヘディング。この3人は、すぐにでもA代表でプレーできる。ただし、今後、所属クラブで結果を残し続ける、という条件付きではあるけどね」
――小久保以外の守備陣では?
「最終ラインで素晴らしいプレーを見せたのが、まだ19歳の高井。ほとんどミスをしなかったし、攻撃の起点としてもチームに貢献した。CB木村誠二、右サイドバックの関根大輝、左サイドバックの大畑も持ち味を発揮した」
――攻撃陣の評価は?
「GS最初のパラグアイ戦で、三戸とFW藤尾翔太が大活躍。佐藤恵允も、U-23アジアカップとは見違えるような出来だった」
――少し期待を裏切った、と考える選手は?
「斉藤光毅はパラグアイ戦では見事なドリブル突破を見せたが、以後の試合では厳しいマークを受けて精彩を欠いたかな。荒木遼太郎には勝負所での決定的な仕事を期待していたが、輝くことができなかった」
――この大会は、日本の若い選手たちにとってどのような意味があったと考えますか?
「この年代の世界のトップ選手たちと真剣勝負を繰り広げ、貴重な経験を積んだ。ある者は成長のきっかけを、またある者は課題を発見したと思う」
――東京五輪で、日本はスペインに準決勝で延長の末に敗れた。そして、パリ五輪では準々決勝でスペインと再戦し、3点差で返り討ちにあいました。
「ただし、3年前は自国開催で、OAも使ったうえでのほぼベストメンバー。今回は欧州での開催で、チーム編成も十分ではなかったが、選手たちは精一杯のプレーを見せた」
男子、なでしこともにチームの前進を感じた
編成面で難儀したことを踏まえても、スペイン相手によく健闘した——というのがチアゴ記者の見解だった。
東京とパリ五輪の間に行なわれた2022年W杯で、日本はGSでドイツとスペインを倒してグループを首位で突破した。しかし、これをもって世界の強豪国に追いついたわけではないのは言うまでもない。
国際大会で勝ったり負けたりを繰り返しながら、日本は「2050年のW杯優勝」という大目標へ向けて正しい努力を続けなければならない。
一方、なでしこジャパンは2012年ロンドン大会の銀以来となるメダル獲得を狙ったものの、ベスト8に終わった。東京五輪と同成績ながら、ブラジル相手に終盤での劇的な逆転勝利を果たすなど、チアゴ記者は選手たちのプレーからチームの前進ぶりを感じたという――。
<つづく>