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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「ホソヤのオフサイド以上に痛かった」パリ五輪スペイン戦“本当の敗因”…ブラジル人記者の指摘と「A代表ですぐプレーできる」3人の名は?
posted2024/08/06 19:05
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Takuya Nakachi/JMPA
「日本のプレー内容は、決して悪くなかった。スペインとの間に、スコアほどの差があったわけではない」
「何人かの選手は、すぐにでもA代表でプレーできる」
2日(日本時間では3日)に行なわれたパリ五輪男子サッカーの準々決勝で、日本は東京五輪銀メダルでパリ大会でも優勝候補のスペインに0−3で敗れた。
ブラジルメディアきっての日本通であるチアゴ・ボンテンポ記者にスペイン戦、そしてこの大会における日本への評価を聞いた。我々日本人にとってはショックの残る敗退だったが、彼は思いのほかポジティブな受け止め方をしていた。
先制されても“経験値の蓄積”を感じたワケ
――序盤、日本はスペインの巧みなパス回しに戸惑った感がありました。そして11分、日本の自陣左サイドでMF山本理仁が前線のMF三戸舜介へ縦パスを出したが、CBエリック・ガルシアに跳ね返された。ボールはMFパブロ・バリオスを経由し、MFフェルミン・ロペスが強烈なミドルシュート。GK小久保玲央ブライアンが懸命に飛びついて左手で触ったが、防げませんでした。
「三戸がボールを収められなかったし、日本の守備陣の誰一人として、ボールを奪われてからの展開を予測できていなかったね」
――いきなり冷や水を浴びせかけられたわけですが、その後、日本は徐々に盛り返します。
「高い位置からの連動したプレス、球際の激しい当たり、そしてコンパクトな守備で盛り返していった。次第に、スペイン選手の巧みなパス回しに慣れていった。このあたりに、日本選手の経験値の蓄積を感じた」
根本的には…とはいえ日本にとって不運な判定だ
――そして前半40分、「あのプレー」が起きます。
「あの一連のプレーと判定については、しっかりと整理して話さないとね」
――左サイドバック大畑歩夢と斉藤光毅がパスを交換した後、スペースへと走り込んだ藤田譲瑠チマへ渡ります。藤田がCBクバルシを背負っていた細谷真大へ預けると、細谷は巧みに反転して右足でシュート。これがガルシアの股の間を抜いてゴール左隅へ飛び込みました。
「CFとして、細谷は完璧な仕事をやってのけた。あの一撃に関して、スペインの守備陣は、完全にやられた、と下を向いていた。主審はゴールを認めたが、VARが発動されて『藤田からパスが出た瞬間、細谷の右のかかとがクバルシからわずかに前へ出ていた』としてオフサイドの判定が下された。細谷の体はクバルシより後方(ゴールから遠い側)にあり『敵の2人目の選手よりもゴールに近い場所にいる』というオフサイドの根本的な考え方には反していない。とはいえ非常に稀なケースであり、日本にとっては極めて厳しく、かつ不運な判定だった」
――前半終了間際にも、日本は右サイドのFKをファーサイドで細谷が頭で合わせたが、ポストに跳ね返された。